TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
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立ちあがれ。
今こそ、決着の時。
今こそ、決着の時。
・・・
Scene0. いつもと違う夜
その夜。適当な理由をつけて彼を外泊させた一行は、眠る彼の枕元に再び集まっていた。
「皆さん、今回もお集まりいただきありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる眞我妻・姫香(飯綱渡りの鬼鋏・b76235)。姫香と共に彼を囲む面々の顔には、それぞれに彼を救おうとする気持ちと、卑劣な夢魔へ対する憤りが浮かんでいた。
「それにしても……あんなのに鋼誠苦しめられてたと思うと、腹が立つ!」
そう息巻くのは嘉凪・綾乃(緋楼蘭・b65487)。その様子を見て、弟の嘉凪・久臣(竜神の蒼き衛士・b67229)は「落ち着いてくれよ」と溜息をつく。
「まあ、俺も手加減する気はないし、完全に自業自得だよな……」
「その通りだ」
何処か冷徹な空気を漂わせた功刀・伊知郎(深紅の錬士・b65782)が、久臣の言葉を肯定する。
「過去を知らぬ事が、どれだけの苦痛か……そして其れを利用するなど、卑劣極まりない」
「ええ。下種め……絶対に、許さない。皆と一緒に、ここで討つ」
静かな怒りを燃え立たせる渡会・綾乃(鬼鋼蜘蛛の巫女・b74204)。それに頷く、神谷・恭一(蒼の風に舞う羽・b73549)とフォア・トンユエ(正しき闇の導き手・b61331)。
皆の顔を順繰りに見て、やがて姫香は決意したようにティンカーベルの粉を振るう。間もなく現れた不思議な色の雲が、彼女たちを夢の中へと誘う……
Scene1. いつもと違う夢
夢の中に着いた一行は、すぐにその違和感に気がつく。
「……ねえ、何か違くない?」
「……はい、何か……あまり壊れてない、というか……」
――そう。前回入った時は、村は建物という建物が壊れ、辺り一面が火の海だった。だが、今はまだ無事な建物が多く、火の手も少ない。そして――
「――人気が無いな」
そこに倒れているのは、僅か数名。何より、あの2人の土蜘蛛が見当たらない。
「……!皆さん、あれを!」
指差す先には遺体と思しき人影があったものの、その下半身は灰色の靄のようなものが構成し、時折調子の悪いテレビのようにノイズが走る。
「これは……まさか」
行きつく、一つの可能性。
もし夢魔が、まだ夢を再構成できていないとしたら――?
「――うわ、本当にまた来やがったコイツ等!」
一行の思考を遮るように、不快な声が聞こえる。夢魔だ。
「くっそ、何ならもうちょいキチンと準備しときゃよかった。なんてムカつく奴らだちくしょー」
今回は話し合いの結果、鋼誠には事情を話さない事になっていた。口調からすると、どうやらそのせいで夢魔側はこちらの情報を得られなかったらしい。
「ムカつくのはどっちよ!」
本当に嫌がっているのか分からない、軽薄な夢魔の声。それに対する激昂の声にも、涼しげな顔をしてせせら笑う。
「さーあ、どっちだか?つーかどっちでも良いんだよそんなの。折角一応可能性を考えて準備しておいたんだ、お前らも俺が喰ってやるからありがたく思え?」
夢魔が言うと共に、周囲に倒れている人影のいくつかがむくりと起き上がる。そしてそれを確認した夢魔が指を鳴らすと、その周囲にも同じような影。戦争時ほどではないが、夢魔の僕達に囲まれた状態と言える。
「……懲りないのですね」
「キミは輪廻に還るにも値しないな……」
即座に陣形を整え、迎え撃つ態勢を整える能力者達。
「卑劣な者よ、許しません!」
「はっ、後悔しても知らねえぜ!?」
互いに言い放つ声。戦いの火蓋は、切って落とされた。
Scene2. いつもと違う顔
――夢魔は、いくつか誤算をしていた。
「そら、キリキリ働けガキども!」
一声叫び、力を解放する夢魔。バリアのようなものが張り巡らされ、僕達を包みこんでいく。しかし、
「……我強キヲ忌ミ呪ヒ言ヲ以テ苛メル也」
自己強化をする伊知郎と震脚を放つ久臣に合わせ、フォアが素早く呪言を紡ぎ地獄の如き叫び声を上げる。――そう、夢魔の最初の誤算。呪言士の存在である。
「んなぁっ!?」
フォアの叫びに身を震わせ、引き出された更なる呪いを身に受ける夢魔と僕達。その大半が内側から身体を蝕まれていく。結果、動きの速い僕達はあっという間に体力が無くなり……
「言っとくけど手加減しないわ。僕諸共凍えさせてあげる」
攻撃も大した成果をあげず、嘉凪・綾乃の放つ吹雪に次々と凍りつき倒される。夢魔もまた薄氷に包まれ、苦々しい顔を向ける。
「おっ、お前ら……!」
「贖罪の時だ……苦しみをその身に刻むといい」
恭一が冷たく言い放ち、クライシスビートをかき鳴らす。夢魔の2つ目の誤算は、広範囲に状態異常を付与する能力の持ち主が多かった事であった。いかに手勢が多くとも、単体が弱ければ状態異常は致命的になり得る。
そこへ渡会・綾乃の牙道砲が飛び、その隣では姫香が風を纏う。まさに盤石だった。
「ちっ…なめてんじゃねえぞ!」
自力で猛毒と魔氷を振り払った夢魔が、再びバリアを展開する。しかしその程度の回復量では、猛攻を凌ぎきる事はできない。
「散々好き勝手やったんだ、相応の罰は受けてもらうぜ」
「卑劣な貴様を、許す訳にはいかない」
久臣の放つ連続の蹴りが、伊知郎の振るう黒い剣が一体、また一体と僕を消していく。
「オイオイ、冗談じゃ……」
「手加減しないって、言ったでしょ?」
いい笑顔で再び吹雪を巻き起こす嘉凪・綾乃。辛うじてかわす夢魔を追撃するように、渡会・綾乃の気迫のこもった牙道砲が飛ぶ。その向こうには、恭一が魔法陣を展開しているのが見える。
「くっ、いい加減にっ……!?」
「余所見をしている場合ですか?」
悪態を吐こうとした夢魔の眼下に、爽やかな色合いの着物が映る。
「ただこちらを見ていても無駄です……あなたに、私は捉えられない」
姫香の声と共に、夢魔の視点が強制的に移動する――クレセントファングが、夢魔のこめかみを綺麗に捉えていた。
「……正しき闇は、邪を駆逐する……」
フォアが再び叫び声をあげると、僅かに残っていた僕が残らず消えていく。
「……お前らぁぁぁぁぁッ!!」
――能力者達が予想以上に強かったことも、もしかしたら夢魔にとっては誤算だったのかも知れない。或いはここで逃げていれば結果も変わったのだろうが……完全に逆上した夢魔は、自棄を起こしたように吸血蝙蝠の群れを辺り一面に奔らせる。しかしそれはもはや、仮に全員に当たったとしても悪あがきにしかならなかったが。
「……終わりだな」
その場に跪いた夢魔に、伊知郎が歩み寄る。挟むように姫香が続き、少し離れて渡会・綾乃が獣のような姿勢を取る。
「愚かな夢魔よ、あなたの負けです」
「己の愚考を悔い、そのまま悪夢に沈め」
「貴方に与える慈悲はない……虚空に消えなさい!」
伊知郎の黒影剣が夢魔を袈裟がけに大きく斬り裂き、姫香が高速で回転し逆側から鋼糸で幾重にも刻む。とどめに渡会・綾乃の牙道砲が襲うと、夢魔は大きく吹き飛ばされた。
「……畜生……」
まだ僅かに息のあった夢魔が、憎々しげに呟く。
「畜生、畜生畜生畜生畜生!!何なんだよ!何なんだよお前らは!畜生、この畜生が!!」
一行は喚き散らす夢魔を無視しようとして、そこで初めて夢魔がこれまでと違う表情を見せているのに気がついた。
「……こうなりゃお前らもただじゃ済まさねえ……コイツの封じてるトラウマ、全部解放してやる!」
「!!」
誰もが耳を疑った。そして、慌てて吹き飛ばされた夢魔の元へと駆けだす。だが――
「遅えよこの畜生どもが!……壊れちまえ!!」
――ぎゃはは、と下品な笑いと共に消滅する夢魔。それと引き換えに現れた黒き濁流が、全てを飲み込んでいった。
Scene3. そしていつもと――
友人。
狂気。
恐怖。
逃走。
――濁流の中、断片的な映像が見える。
襲撃。
女王。
側近。
視線。
――重くて、苦しくて、哀しくて。
破壊。
殺戮。
兄弟。
殺――
断片的にしか見えない、封じられた記憶。それでも、それが耐えがたく、封じずにいられない記憶である事は、濁流の過ぎ去ったその場の誰もが理解した。
「……取りあえず、戻ろう」
彼は周囲に居ない。探しても、見つかりそうにない。その場で出来る事は、もう残っていなかった。
一縷の望みを胸に、一行は夢を後にした。
――そして後日。
数名を呼び出したのは、他でもない彼自身であった。
「……何つーか、悪かったな。俺の与り知らぬ事とは言え、迷惑かけちまったみてえじゃねえか」
夢魔が彼のトラウマを解放する際の影響だろうか、はたまた姫香が彼に打ち明けたのか。彼は、事のあらましを知っているようだった。
「それにしても、野郎とんだ置き土産残していきやがったな。皆、気分悪くなってねえか?」
それはこっちのセリフだ、という抗議に「確かにそうだな」と彼は笑う。
「……何で、忘れちまってたんだろうな。犯した過ちから、逃げちゃいけねえ。いつか受け入れられる時が来たら、背負って生きなきゃいけねえのにな」
ふと、皆の顔が暗くなっている事に気がついた彼は、笑って言う。
「何、心配はいらねえさ。俺は今、独りじゃないんだ。それに――俺の名は『鋼の誠』。共に生きるは『鉄の志』。……この程度の痛みで、折れるワケが無ぇ!」
――その心の強さこそ、夢魔の最後の誤算だった。
・・・
夢魔との戦闘…完全勝利!
Scene0. いつもと違う夜
その夜。適当な理由をつけて彼を外泊させた一行は、眠る彼の枕元に再び集まっていた。
「皆さん、今回もお集まりいただきありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる眞我妻・姫香(飯綱渡りの鬼鋏・b76235)。姫香と共に彼を囲む面々の顔には、それぞれに彼を救おうとする気持ちと、卑劣な夢魔へ対する憤りが浮かんでいた。
「それにしても……あんなのに鋼誠苦しめられてたと思うと、腹が立つ!」
そう息巻くのは嘉凪・綾乃(緋楼蘭・b65487)。その様子を見て、弟の嘉凪・久臣(竜神の蒼き衛士・b67229)は「落ち着いてくれよ」と溜息をつく。
「まあ、俺も手加減する気はないし、完全に自業自得だよな……」
「その通りだ」
何処か冷徹な空気を漂わせた功刀・伊知郎(深紅の錬士・b65782)が、久臣の言葉を肯定する。
「過去を知らぬ事が、どれだけの苦痛か……そして其れを利用するなど、卑劣極まりない」
「ええ。下種め……絶対に、許さない。皆と一緒に、ここで討つ」
静かな怒りを燃え立たせる渡会・綾乃(鬼鋼蜘蛛の巫女・b74204)。それに頷く、神谷・恭一(蒼の風に舞う羽・b73549)とフォア・トンユエ(正しき闇の導き手・b61331)。
皆の顔を順繰りに見て、やがて姫香は決意したようにティンカーベルの粉を振るう。間もなく現れた不思議な色の雲が、彼女たちを夢の中へと誘う……
Scene1. いつもと違う夢
夢の中に着いた一行は、すぐにその違和感に気がつく。
「……ねえ、何か違くない?」
「……はい、何か……あまり壊れてない、というか……」
――そう。前回入った時は、村は建物という建物が壊れ、辺り一面が火の海だった。だが、今はまだ無事な建物が多く、火の手も少ない。そして――
「――人気が無いな」
そこに倒れているのは、僅か数名。何より、あの2人の土蜘蛛が見当たらない。
「……!皆さん、あれを!」
指差す先には遺体と思しき人影があったものの、その下半身は灰色の靄のようなものが構成し、時折調子の悪いテレビのようにノイズが走る。
「これは……まさか」
行きつく、一つの可能性。
もし夢魔が、まだ夢を再構成できていないとしたら――?
「――うわ、本当にまた来やがったコイツ等!」
一行の思考を遮るように、不快な声が聞こえる。夢魔だ。
「くっそ、何ならもうちょいキチンと準備しときゃよかった。なんてムカつく奴らだちくしょー」
今回は話し合いの結果、鋼誠には事情を話さない事になっていた。口調からすると、どうやらそのせいで夢魔側はこちらの情報を得られなかったらしい。
「ムカつくのはどっちよ!」
本当に嫌がっているのか分からない、軽薄な夢魔の声。それに対する激昂の声にも、涼しげな顔をしてせせら笑う。
「さーあ、どっちだか?つーかどっちでも良いんだよそんなの。折角一応可能性を考えて準備しておいたんだ、お前らも俺が喰ってやるからありがたく思え?」
夢魔が言うと共に、周囲に倒れている人影のいくつかがむくりと起き上がる。そしてそれを確認した夢魔が指を鳴らすと、その周囲にも同じような影。戦争時ほどではないが、夢魔の僕達に囲まれた状態と言える。
「……懲りないのですね」
「キミは輪廻に還るにも値しないな……」
即座に陣形を整え、迎え撃つ態勢を整える能力者達。
「卑劣な者よ、許しません!」
「はっ、後悔しても知らねえぜ!?」
互いに言い放つ声。戦いの火蓋は、切って落とされた。
Scene2. いつもと違う顔
――夢魔は、いくつか誤算をしていた。
「そら、キリキリ働けガキども!」
一声叫び、力を解放する夢魔。バリアのようなものが張り巡らされ、僕達を包みこんでいく。しかし、
「……我強キヲ忌ミ呪ヒ言ヲ以テ苛メル也」
自己強化をする伊知郎と震脚を放つ久臣に合わせ、フォアが素早く呪言を紡ぎ地獄の如き叫び声を上げる。――そう、夢魔の最初の誤算。呪言士の存在である。
「んなぁっ!?」
フォアの叫びに身を震わせ、引き出された更なる呪いを身に受ける夢魔と僕達。その大半が内側から身体を蝕まれていく。結果、動きの速い僕達はあっという間に体力が無くなり……
「言っとくけど手加減しないわ。僕諸共凍えさせてあげる」
攻撃も大した成果をあげず、嘉凪・綾乃の放つ吹雪に次々と凍りつき倒される。夢魔もまた薄氷に包まれ、苦々しい顔を向ける。
「おっ、お前ら……!」
「贖罪の時だ……苦しみをその身に刻むといい」
恭一が冷たく言い放ち、クライシスビートをかき鳴らす。夢魔の2つ目の誤算は、広範囲に状態異常を付与する能力の持ち主が多かった事であった。いかに手勢が多くとも、単体が弱ければ状態異常は致命的になり得る。
そこへ渡会・綾乃の牙道砲が飛び、その隣では姫香が風を纏う。まさに盤石だった。
「ちっ…なめてんじゃねえぞ!」
自力で猛毒と魔氷を振り払った夢魔が、再びバリアを展開する。しかしその程度の回復量では、猛攻を凌ぎきる事はできない。
「散々好き勝手やったんだ、相応の罰は受けてもらうぜ」
「卑劣な貴様を、許す訳にはいかない」
久臣の放つ連続の蹴りが、伊知郎の振るう黒い剣が一体、また一体と僕を消していく。
「オイオイ、冗談じゃ……」
「手加減しないって、言ったでしょ?」
いい笑顔で再び吹雪を巻き起こす嘉凪・綾乃。辛うじてかわす夢魔を追撃するように、渡会・綾乃の気迫のこもった牙道砲が飛ぶ。その向こうには、恭一が魔法陣を展開しているのが見える。
「くっ、いい加減にっ……!?」
「余所見をしている場合ですか?」
悪態を吐こうとした夢魔の眼下に、爽やかな色合いの着物が映る。
「ただこちらを見ていても無駄です……あなたに、私は捉えられない」
姫香の声と共に、夢魔の視点が強制的に移動する――クレセントファングが、夢魔のこめかみを綺麗に捉えていた。
「……正しき闇は、邪を駆逐する……」
フォアが再び叫び声をあげると、僅かに残っていた僕が残らず消えていく。
「……お前らぁぁぁぁぁッ!!」
――能力者達が予想以上に強かったことも、もしかしたら夢魔にとっては誤算だったのかも知れない。或いはここで逃げていれば結果も変わったのだろうが……完全に逆上した夢魔は、自棄を起こしたように吸血蝙蝠の群れを辺り一面に奔らせる。しかしそれはもはや、仮に全員に当たったとしても悪あがきにしかならなかったが。
「……終わりだな」
その場に跪いた夢魔に、伊知郎が歩み寄る。挟むように姫香が続き、少し離れて渡会・綾乃が獣のような姿勢を取る。
「愚かな夢魔よ、あなたの負けです」
「己の愚考を悔い、そのまま悪夢に沈め」
「貴方に与える慈悲はない……虚空に消えなさい!」
伊知郎の黒影剣が夢魔を袈裟がけに大きく斬り裂き、姫香が高速で回転し逆側から鋼糸で幾重にも刻む。とどめに渡会・綾乃の牙道砲が襲うと、夢魔は大きく吹き飛ばされた。
「……畜生……」
まだ僅かに息のあった夢魔が、憎々しげに呟く。
「畜生、畜生畜生畜生畜生!!何なんだよ!何なんだよお前らは!畜生、この畜生が!!」
一行は喚き散らす夢魔を無視しようとして、そこで初めて夢魔がこれまでと違う表情を見せているのに気がついた。
「……こうなりゃお前らもただじゃ済まさねえ……コイツの封じてるトラウマ、全部解放してやる!」
「!!」
誰もが耳を疑った。そして、慌てて吹き飛ばされた夢魔の元へと駆けだす。だが――
「遅えよこの畜生どもが!……壊れちまえ!!」
――ぎゃはは、と下品な笑いと共に消滅する夢魔。それと引き換えに現れた黒き濁流が、全てを飲み込んでいった。
Scene3. そしていつもと――
友人。
狂気。
恐怖。
逃走。
――濁流の中、断片的な映像が見える。
襲撃。
女王。
側近。
視線。
――重くて、苦しくて、哀しくて。
破壊。
殺戮。
兄弟。
殺――
断片的にしか見えない、封じられた記憶。それでも、それが耐えがたく、封じずにいられない記憶である事は、濁流の過ぎ去ったその場の誰もが理解した。
「……取りあえず、戻ろう」
彼は周囲に居ない。探しても、見つかりそうにない。その場で出来る事は、もう残っていなかった。
一縷の望みを胸に、一行は夢を後にした。
――そして後日。
数名を呼び出したのは、他でもない彼自身であった。
「……何つーか、悪かったな。俺の与り知らぬ事とは言え、迷惑かけちまったみてえじゃねえか」
夢魔が彼のトラウマを解放する際の影響だろうか、はたまた姫香が彼に打ち明けたのか。彼は、事のあらましを知っているようだった。
「それにしても、野郎とんだ置き土産残していきやがったな。皆、気分悪くなってねえか?」
それはこっちのセリフだ、という抗議に「確かにそうだな」と彼は笑う。
「……何で、忘れちまってたんだろうな。犯した過ちから、逃げちゃいけねえ。いつか受け入れられる時が来たら、背負って生きなきゃいけねえのにな」
ふと、皆の顔が暗くなっている事に気がついた彼は、笑って言う。
「何、心配はいらねえさ。俺は今、独りじゃないんだ。それに――俺の名は『鋼の誠』。共に生きるは『鉄の志』。……この程度の痛みで、折れるワケが無ぇ!」
――その心の強さこそ、夢魔の最後の誤算だった。
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ここの管理人
HN:
蛍月
性別:
男性
自己紹介:
このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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