TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
それは、突然に。
まるで、春一番のような。
まるで、春一番のような。
・・・
12月某日。曜子は風邪をこじらせ、寮で一人休んでいた。
能力者、それも来訪者であるとは言え、ベースはあくまで中学生の少女。少し無理をすれば体調を崩すし、こうして風邪で寝込むことだってあるのだ。
(……まあ、少し頑張れば出かけるくらいはできたんだけど)
彼女の寮の寮母は世話焼きなことで有名であり、また少々心配性なことでも有名である。そんな寮母に静養を強く勧められた曜子は、結局断りきれず今に至る。
(熱は……大したことない、わね)
体温計の数字を確認した曜子は、軽く何か食べるものでも、と布団から出る。と、
ぴぃんぽーん。
この寮の名物と名高い(?)、やや間抜けな電子音のチャイムが鳴る。誰かしら、と思った曜子は、すぐに寮母の顔を思い浮かべた。
(きっと、ご飯でも作りに来たのね)
先に述べた通りの寮母である。こちらから頼まなくても、食事くらいは作りに来るのだ。
「はーい」
風邪のせいで判断力が鈍っていたのか、そんな思い込みを疑うでもなく、よくよく確認もせずにドアを開ける。
「あ、こんにちは曜子ちゃん。具合はどう?」
硬直。
ドアの先にいたのはお馴染みの寮母ではなく、自分に似た髪色の、優しい顔をした――
ばたんっ
「――って、ええっ!?よ、曜子ちゃん!?」
(な、ななななな……)
嘉凪・綾乃。
友達のような、姉のような――そんな彼女の突然の登場に、驚きのあまり反射的にドアを閉じてしまう。
閉じてから慌ててしまったと思い、恐る恐るドアを開け直す。……少しだけ。
「か、嘉凪……さん?」
「う、うん。鋼誠から風邪ひいたって聞いて、お見舞いに来たんだけど……もしかして、来たらまずかったかな?」
「そ、そんなことはないです。むしろ嬉し……ああいえなんでもないです」
曜子は頭のどこかの冷静な部分で、「ああ、動揺してるな私」と分析する。
どうしてこう、この人の前では、私は――
「えっと、曜子ちゃん?」
「あいえなんでもないですどうぞあがってああいやだめですかぜがうつります」
ほら、やっぱり動揺してる。
ややあって。
「それじゃ、ちょっと待っててね」
「はい……すみません、わざわざ」
「いいのいいの。ほら、良いから休んでて?」
曜子の体調が快復に向かっていること、食欲もそれなりにあることを確認した綾乃は、見舞いついでに食事を作ることにした。
「でも、本当に大丈夫なの?何だか顔が赤いけど……」
「いえ全然大丈夫です」
未だに動揺が収まりきらないながら、きっぱりと答える。顔が赤いのは、きっと風邪のせいではないから。
そう?と少し表情を和らげた綾乃は、部屋のミニキッチンに向かう。
布団の中からぼんやりとその背中を眺める曜子は、ふとこんなことを思った。
(お姉さん……いや、何だかお母さんって感じかしら)
育ての親の下を離れ、寮生活を初めてからしばらく。
台所に立つ母の背中は、こんな暖かな背中だっただろうか――
(――あれ?)
不意に、視界がぼやける。そして、滲む部屋の先に見えた背中は、綾乃のものでも、育ての母親のものでもない、別の誰かの――
「はい、出来たよ――って、どうしたの曜子ちゃん!?大丈夫!?」
振り返った綾乃の慌てた声に、ようやく自分が涙を流していることに気がつく。
「え――あれ、どうしたんでしょうね?特にドライアイとかではないはずですが」
首を傾げながら数度瞬きをすると、涙は止まり視界の滲みも消えた。
同時に、綾乃の背中に何を見出そうとしたのか――それも、どこかへ消えてしまった。
「本当はきつねうどんを作ってあげたかったけど、油揚げってあんまり消化に良くないから……」
そう言って差し出された器には、少し柔らかめに煮込まれているであろう月見うどんが湯気を立てている。
「いえいえ、私もそれは分かっていますから。お気持ちだけで十分ですよー」
それなりにあった食欲が更に増すのを感じながら、曜子はうどんに向けて手を合わせた。
息を吹きかけて冷ましながら、少しずつうどんをすする曜子。それを見た綾乃が、ふと思いついたように尋ねる。
「……ねえ曜子ちゃん、あーんしてあげようか?」
ぴたりと硬直する曜子。見る間に顔が赤くなって、
「え、遠慮しておきます」
ロボットか何かのように、ぎくしゃくと答える。そんな曜子を見た綾乃はくすりと笑み、「そう?」とだけ返した。
「……甘えたかったら、いつでも言って良いからね?」
「……はい」
裏表の無いような、何か含みのあるような――どちらとも取れる綾乃の言葉に、曜子は少しだけ素直に答えたのだった。
12月某日。曜子は風邪をこじらせ、寮で一人休んでいた。
能力者、それも来訪者であるとは言え、ベースはあくまで中学生の少女。少し無理をすれば体調を崩すし、こうして風邪で寝込むことだってあるのだ。
(……まあ、少し頑張れば出かけるくらいはできたんだけど)
彼女の寮の寮母は世話焼きなことで有名であり、また少々心配性なことでも有名である。そんな寮母に静養を強く勧められた曜子は、結局断りきれず今に至る。
(熱は……大したことない、わね)
体温計の数字を確認した曜子は、軽く何か食べるものでも、と布団から出る。と、
ぴぃんぽーん。
この寮の名物と名高い(?)、やや間抜けな電子音のチャイムが鳴る。誰かしら、と思った曜子は、すぐに寮母の顔を思い浮かべた。
(きっと、ご飯でも作りに来たのね)
先に述べた通りの寮母である。こちらから頼まなくても、食事くらいは作りに来るのだ。
「はーい」
風邪のせいで判断力が鈍っていたのか、そんな思い込みを疑うでもなく、よくよく確認もせずにドアを開ける。
「あ、こんにちは曜子ちゃん。具合はどう?」
硬直。
ドアの先にいたのはお馴染みの寮母ではなく、自分に似た髪色の、優しい顔をした――
ばたんっ
「――って、ええっ!?よ、曜子ちゃん!?」
(な、ななななな……)
嘉凪・綾乃。
友達のような、姉のような――そんな彼女の突然の登場に、驚きのあまり反射的にドアを閉じてしまう。
閉じてから慌ててしまったと思い、恐る恐るドアを開け直す。……少しだけ。
「か、嘉凪……さん?」
「う、うん。鋼誠から風邪ひいたって聞いて、お見舞いに来たんだけど……もしかして、来たらまずかったかな?」
「そ、そんなことはないです。むしろ嬉し……ああいえなんでもないです」
曜子は頭のどこかの冷静な部分で、「ああ、動揺してるな私」と分析する。
どうしてこう、この人の前では、私は――
「えっと、曜子ちゃん?」
「あいえなんでもないですどうぞあがってああいやだめですかぜがうつります」
ほら、やっぱり動揺してる。
ややあって。
「それじゃ、ちょっと待っててね」
「はい……すみません、わざわざ」
「いいのいいの。ほら、良いから休んでて?」
曜子の体調が快復に向かっていること、食欲もそれなりにあることを確認した綾乃は、見舞いついでに食事を作ることにした。
「でも、本当に大丈夫なの?何だか顔が赤いけど……」
「いえ全然大丈夫です」
未だに動揺が収まりきらないながら、きっぱりと答える。顔が赤いのは、きっと風邪のせいではないから。
そう?と少し表情を和らげた綾乃は、部屋のミニキッチンに向かう。
布団の中からぼんやりとその背中を眺める曜子は、ふとこんなことを思った。
(お姉さん……いや、何だかお母さんって感じかしら)
育ての親の下を離れ、寮生活を初めてからしばらく。
台所に立つ母の背中は、こんな暖かな背中だっただろうか――
(――あれ?)
不意に、視界がぼやける。そして、滲む部屋の先に見えた背中は、綾乃のものでも、育ての母親のものでもない、別の誰かの――
「はい、出来たよ――って、どうしたの曜子ちゃん!?大丈夫!?」
振り返った綾乃の慌てた声に、ようやく自分が涙を流していることに気がつく。
「え――あれ、どうしたんでしょうね?特にドライアイとかではないはずですが」
首を傾げながら数度瞬きをすると、涙は止まり視界の滲みも消えた。
同時に、綾乃の背中に何を見出そうとしたのか――それも、どこかへ消えてしまった。
「本当はきつねうどんを作ってあげたかったけど、油揚げってあんまり消化に良くないから……」
そう言って差し出された器には、少し柔らかめに煮込まれているであろう月見うどんが湯気を立てている。
「いえいえ、私もそれは分かっていますから。お気持ちだけで十分ですよー」
それなりにあった食欲が更に増すのを感じながら、曜子はうどんに向けて手を合わせた。
息を吹きかけて冷ましながら、少しずつうどんをすする曜子。それを見た綾乃が、ふと思いついたように尋ねる。
「……ねえ曜子ちゃん、あーんしてあげようか?」
ぴたりと硬直する曜子。見る間に顔が赤くなって、
「え、遠慮しておきます」
ロボットか何かのように、ぎくしゃくと答える。そんな曜子を見た綾乃はくすりと笑み、「そう?」とだけ返した。
「……甘えたかったら、いつでも言って良いからね?」
「……はい」
裏表の無いような、何か含みのあるような――どちらとも取れる綾乃の言葉に、曜子は少しだけ素直に答えたのだった。
PR
この記事にコメントする
ここの管理人
HN:
蛍月
性別:
男性
自己紹介:
このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
カレンダー
02 | 2025/03 | 04 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
30 | 31 |
ブログ内検索
P R