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TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
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私は鋏角衆、戦う者。
なのに。

・・・

「ほ、本当に申し訳ありませんでした…!」
 マヨイガの戦いも終わり、祝勝会を上げる能力者の面々。その喧騒から離れ、部屋の隅に胡坐をかく青年と、その前で畳に頭を擦りつけんばかりの勢いで土下座をする少女。
「気にすんなって、そんだけ心配してくれたってこったろ?」
 下手をすればその場で切腹でもしかねない少女の焦りぶりに、青年は「しょうがねえな」と笑う。
「第一よ、俺がこの程度の怪我でダメになると思うか?たかだか内臓が潰れてるだけだぜ?」
「ふ、普通なら十分死んでます!そうでなくても絶対安静です!」
「普通の奴ならなー」
 けらけらと笑い続ける青年に、顔色が目まぐるしく変わる少女。傍目から見ればさぞかし滑稽な光景だろうが、当人は―否、少女は必死である。
「ま、俺はこの通りだけどよ。お前は大丈夫だったみたいだな?」
 青年の言葉に、一人バタバタとしていた少女が不意に落ち着きを取り戻す。
「…はい、この通り。皆さんが助けてくださったおかげで、大きな怪我も無くこの戦争を乗り切れました」
 ふと、視線を落とす少女。
「私が皆さんを守るんだ、って思ってたのに…まだまだ、未熟です」
「…姫香」
 少女―姫香は名前を呼ばれるが、俯いたまま反応がない。
「姫香、お前さ…この戦い、死んでもいいって思ってただろ。
 自分の命と引き換えにしてでも、一人でも多く仲間を守ろうって…そう思ってただろ」
 姫香は顔を上げないまま、ポツリとこぼす。
「…どうして、分かったのですか?」
「お前の考えなんざお見通しだってえの。…で、どうだった?」
「…あの時、抱きしめられた時…無事に帰ろうねって言われた時…急に、皆さんの事が愛おしくなって…『死んででも』って意識が薄れて…『死にたくないな』って、思いました…
 私、嬉しかったんです。守るために、ずっとずっと一人で戦ってきて…鋏角衆は、そういうものなのだと…目的のために、自身を犠牲にしてでも、最後まで戦うものなのだと、思ってました。
 でも、そんな私でも、一緒にいたいと…共に戦おうと言ってくれる、皆さんの存在が…凄く…嬉しくて…私も、一緒に、もっと…」
 姫香の言葉は、後になればなるほど涙に飲み込まれていく。とうとう喋れなくなり、代わりに零れる大粒の雫が着物の生地に消える。
 そんな彼女を見て、青年が不意に口を開く。
「ん、合格」
「え…」
 姫香が顔を上げる。涙に濡れた目が見開かれ、虚を突かれたような表情が作られる。
「折角仲間ができたのに、一人で突っ込んで勝手に死んじまったらしょうがねえからな。
 一方的に『助ける』んじゃなく、一緒に『助け合う』のが仲間。『死んでいい』仲間はいない」
「…私…」
「普通の『友達』だけじゃなく、『仲間』もできたんだ。お前ももう、独りじゃないってこったな」
「…っ…!」
 姫香が、青年の胸に飛び込む。青年は一瞬「ぐ」と呻くがそこは堪え、痛みに構わず姫香の頭を優しく撫でる。
「良かったな…姫香」
 青年の胸の中、姫香の嗚咽は暫く止まらなかった。

 少女は仲間を得て、もう独りではない。
 これからは、更に速く駆けて行けるのだろう。
 結局、彼女の本当の敵にして枷は―
 孤独を受け入れた彼女自身、そのものだったのだ。
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このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。  イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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