TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
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―巡る、巡る。
運命が、巡り巡って―
運命が、巡り巡って―
・・・
『ツブスゥゥゥゥゥ!』
その場で激しく空転した車輪が、薫達を轢き潰さんと真っすぐ転がる。しかしその軌道はあまりにも直線的、避けるに大して労は無い。
「単純だね…」
バネに引かれるように元の位置に戻った車輪。その傍には、すでに薫の姿。
「…凍てつけ」
冷気の集中した薫の口から、絶対零度の吐息が吹きつけられる。輻の一本から炎が消え、白く凍てつき―砕ける。
『ヒギッ!?』
「アニキ!『車輪』を『斬って』!」
車輪の怯みを、薫は見逃さない。素早くアニキに指示を飛ばすと、アニキはそれに応じ車輪を幾重にも斬りつける。
『ツメタイ!イタイィィィィィ!マタ!マタオマエラカァァァァァ!』
騒々しくのたうち回る車輪に、彩華が嘆息する。
「そんなに冷たければ、自分の炎で温めればいいでしょうに」
練られた魔力が炎の魔弾を形成し、車輪の顔面に突き刺さる。耳障りな叫びを上げる車輪を一瞥し、彩華は次の行動へ移る構えをとる。
「自分でしないなら私がやります。その身で煉獄を再現したければ、前に出なさい」
久臣の放つ龍撃砲が、ゴーストの群れに文字通り穴を開ける。それに驚いたゴーストの一体を、鋼誠の紅蓮撃が焼き尽くした。
「ちっ、しかし何つー数だ…」
鋼誠の紅蓮撃一発で倒れるようなら、一体一体は大した強さでもないだろう。しかし、問題はその数だ。戦争ほどの戦力差はないものの、普通に戦えば息切れもあり得るだけの数がその場にいる。
―だが。
「そうですね…でも、やるしかない」
「だな。―どんだけいても関係ねえ、ぶちのめす!」
薫に、存分に戦ってもらうため。
友のため、久臣も鋼誠も退く気は毛頭無い。その意志の固さを示すかのように、二人はことごとくゴーストの攻撃を捌いていく。
『ええい、邪魔な奴らめ!』
不意に、一体のリビングデッドが我慢できないといった風に口を開く。
『律儀に戦ってなどいられるか!俺は腹が減ってるんだ!』
そして、二人を無視するように走り始める。狙う先は―薫。
『そっちの細っこいので構わん!とっとと食わせろ!』
「この野郎!…河瀬!」
鋼誠が鋭く彩華を呼び、振り返る。振り向きざまに、鋼誠の姿を映した霧がリビングデッドの行く手に現れる。
「承知致しました」
思わず立ち止まるリビングデッドの横合いに、彩華が迫る。そして反対側には、リビングデッドを挟むように、霧が。
「「破っ!!」」
四方から水のエネルギーを直に叩き込まれ、リビングデッドの身体が胴体から真っ二つに千切れ飛ぶ。それを見たゴースト達の間に戦慄が走り、『目の前の二人を先に倒すべきだ』『いや庇うなら奥のが弱いはずだ』と意味の無い議論が始まる。
「―敵の目の前で議論とは、随分余裕だな」
混乱したゴーストの一体に、久臣の連続蹴りが綺麗に決まる。
「悪いがこちらは容赦しない。覚悟しろ」
ゴースト達が恐慌状態に陥るまで、一秒と必要無かった。
戦いは薫達の優位で進む。普通に戦えば息切れもあり得るだけの数がいても、統率が取れていなければ烏合の衆に過ぎない。
だが、全て上手くいくかといえば、そうとも限らない。
久臣の放つ拳が、あるゴーストを捉え損ねる。そのゴーストの動きは、他のゴーストが有象無象に思えるほど洗練されていて―
「久臣、避けろ!」
「っ!!」
思わず声を出す鋼誠。瞬時に身体を反らした久臣の眼前を、錆色の何かが過ぎる。
―このゴーストだけ、何かが違う―?
「アニキ!『久臣君』を『庇って』!」
薫の指示を受け、体勢の崩れた久臣のもとへアニキが走る―否、飛び込む。そして飛び込む勢いのまま、久臣を狙ったそのゴーストを貫く。
更に、
「邪魔はさせない…細氷よ、集え!」
車輪へと吹きかけた吐息を飲み込み、代わりに周囲へ氷雪を撒き散らす。不意に放たれた竜巻が、ゴースト達を次々と薄氷で包んでいく。
「薫…」
何か言いかけた久臣だが、薫の瞳を見て押し黙る。
「手伝ってくれる…助けてくれる、仲間がいる…」
薫の瞳が、語っていた。
「だから…これは、僕だけの戦いじゃ、ない」
だから、何も言わないで、と。
「倒すだけじゃない…守って、助け合って、一緒に戦う力が…僕には、必要なんだ」
やがて、吹雪が止む。数体のゴーストが倒れ伏す中、それ―身体のほとんどが炭化した男の地縛霊が、刺し傷と魔氷をものともせず佇んでいた。
「…まだ、ここにいたんだね…」
薫の言葉と共に、アニキの昂る気配を全員が感じた。
「アニキ…『別れて』」
薫の言う『別れて』は、アニキと完全に手分けして戦うための指示。アニキの意志に任せ、自由に対象を選び自由に戦わせる。
「彩華さん…アニキを、手伝って」
「…よろしいのですか?」
再び吹雪を招いた薫の横顔に、彩華が問う。
「昔と逆で…今はアニキより、僕が強いから」
少ない抑揚の中に自信を感じた彩華は、「では」と身体の向きを変える。
「柚之葉様のお兄様、柚之葉様よりお手伝いを仰せつかりました。―僭越ながら、邪魔者を焼き払わせて頂きます」
ボッ!という短い爆音とともに、不用意にアニキの横から近づいたリビングデッドが、彩華の魔弾に消炭にされた。
「―!」
直後、彩華はわずかに驚いたような表情を見せる。
―感謝するよ、お嬢さん―
誰の声かは分からないが、確かにそう聞こえた。
(つづく)
『ツブスゥゥゥゥゥ!』
その場で激しく空転した車輪が、薫達を轢き潰さんと真っすぐ転がる。しかしその軌道はあまりにも直線的、避けるに大して労は無い。
「単純だね…」
バネに引かれるように元の位置に戻った車輪。その傍には、すでに薫の姿。
「…凍てつけ」
冷気の集中した薫の口から、絶対零度の吐息が吹きつけられる。輻の一本から炎が消え、白く凍てつき―砕ける。
『ヒギッ!?』
「アニキ!『車輪』を『斬って』!」
車輪の怯みを、薫は見逃さない。素早くアニキに指示を飛ばすと、アニキはそれに応じ車輪を幾重にも斬りつける。
『ツメタイ!イタイィィィィィ!マタ!マタオマエラカァァァァァ!』
騒々しくのたうち回る車輪に、彩華が嘆息する。
「そんなに冷たければ、自分の炎で温めればいいでしょうに」
練られた魔力が炎の魔弾を形成し、車輪の顔面に突き刺さる。耳障りな叫びを上げる車輪を一瞥し、彩華は次の行動へ移る構えをとる。
「自分でしないなら私がやります。その身で煉獄を再現したければ、前に出なさい」
久臣の放つ龍撃砲が、ゴーストの群れに文字通り穴を開ける。それに驚いたゴーストの一体を、鋼誠の紅蓮撃が焼き尽くした。
「ちっ、しかし何つー数だ…」
鋼誠の紅蓮撃一発で倒れるようなら、一体一体は大した強さでもないだろう。しかし、問題はその数だ。戦争ほどの戦力差はないものの、普通に戦えば息切れもあり得るだけの数がその場にいる。
―だが。
「そうですね…でも、やるしかない」
「だな。―どんだけいても関係ねえ、ぶちのめす!」
薫に、存分に戦ってもらうため。
友のため、久臣も鋼誠も退く気は毛頭無い。その意志の固さを示すかのように、二人はことごとくゴーストの攻撃を捌いていく。
『ええい、邪魔な奴らめ!』
不意に、一体のリビングデッドが我慢できないといった風に口を開く。
『律儀に戦ってなどいられるか!俺は腹が減ってるんだ!』
そして、二人を無視するように走り始める。狙う先は―薫。
『そっちの細っこいので構わん!とっとと食わせろ!』
「この野郎!…河瀬!」
鋼誠が鋭く彩華を呼び、振り返る。振り向きざまに、鋼誠の姿を映した霧がリビングデッドの行く手に現れる。
「承知致しました」
思わず立ち止まるリビングデッドの横合いに、彩華が迫る。そして反対側には、リビングデッドを挟むように、霧が。
「「破っ!!」」
四方から水のエネルギーを直に叩き込まれ、リビングデッドの身体が胴体から真っ二つに千切れ飛ぶ。それを見たゴースト達の間に戦慄が走り、『目の前の二人を先に倒すべきだ』『いや庇うなら奥のが弱いはずだ』と意味の無い議論が始まる。
「―敵の目の前で議論とは、随分余裕だな」
混乱したゴーストの一体に、久臣の連続蹴りが綺麗に決まる。
「悪いがこちらは容赦しない。覚悟しろ」
ゴースト達が恐慌状態に陥るまで、一秒と必要無かった。
戦いは薫達の優位で進む。普通に戦えば息切れもあり得るだけの数がいても、統率が取れていなければ烏合の衆に過ぎない。
だが、全て上手くいくかといえば、そうとも限らない。
久臣の放つ拳が、あるゴーストを捉え損ねる。そのゴーストの動きは、他のゴーストが有象無象に思えるほど洗練されていて―
「久臣、避けろ!」
「っ!!」
思わず声を出す鋼誠。瞬時に身体を反らした久臣の眼前を、錆色の何かが過ぎる。
―このゴーストだけ、何かが違う―?
「アニキ!『久臣君』を『庇って』!」
薫の指示を受け、体勢の崩れた久臣のもとへアニキが走る―否、飛び込む。そして飛び込む勢いのまま、久臣を狙ったそのゴーストを貫く。
更に、
「邪魔はさせない…細氷よ、集え!」
車輪へと吹きかけた吐息を飲み込み、代わりに周囲へ氷雪を撒き散らす。不意に放たれた竜巻が、ゴースト達を次々と薄氷で包んでいく。
「薫…」
何か言いかけた久臣だが、薫の瞳を見て押し黙る。
「手伝ってくれる…助けてくれる、仲間がいる…」
薫の瞳が、語っていた。
「だから…これは、僕だけの戦いじゃ、ない」
だから、何も言わないで、と。
「倒すだけじゃない…守って、助け合って、一緒に戦う力が…僕には、必要なんだ」
やがて、吹雪が止む。数体のゴーストが倒れ伏す中、それ―身体のほとんどが炭化した男の地縛霊が、刺し傷と魔氷をものともせず佇んでいた。
「…まだ、ここにいたんだね…」
薫の言葉と共に、アニキの昂る気配を全員が感じた。
「アニキ…『別れて』」
薫の言う『別れて』は、アニキと完全に手分けして戦うための指示。アニキの意志に任せ、自由に対象を選び自由に戦わせる。
「彩華さん…アニキを、手伝って」
「…よろしいのですか?」
再び吹雪を招いた薫の横顔に、彩華が問う。
「昔と逆で…今はアニキより、僕が強いから」
少ない抑揚の中に自信を感じた彩華は、「では」と身体の向きを変える。
「柚之葉様のお兄様、柚之葉様よりお手伝いを仰せつかりました。―僭越ながら、邪魔者を焼き払わせて頂きます」
ボッ!という短い爆音とともに、不用意にアニキの横から近づいたリビングデッドが、彩華の魔弾に消炭にされた。
「―!」
直後、彩華はわずかに驚いたような表情を見せる。
―感謝するよ、お嬢さん―
誰の声かは分からないが、確かにそう聞こえた。
(つづく)
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ここの管理人
HN:
蛍月
性別:
男性
自己紹介:
このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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