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TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
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―凍った心は、何時融ける。
それは、きっと―

・・・

 室内に溢れたゴーストの数が半数を切ろうかという頃。骨を拾ったアニキは具合を確かめるように体をゆすると、地縛霊の振るう錆びたナイフを、逆手に持ったレイピアでいなした。勢い余った地縛霊がバランスを崩すと、これを待っていたと言わんばかりにレイピアを持ちなおし、地縛霊の懐に飛び込む。

 ―す、と。
 音も無く、アニキのレイピアが、地縛霊の身体―人間ならば心臓の辺り―に吸い込まれた。

「―アニキ、『戻って』」
 それを見た薫の指示に、アニキが地縛霊を蹴り飛ばしレイピアを引き抜く。『戻って』は『別れて』の逆、アニキを自分の指揮下に戻す指示。手分けして戦うと不利、または手分けする必要が無い時の指示。
『お…れ……之葉…、末………』
 今回は後者であった事を証明するかのように、地縛霊は途切れ途切れに呪詛の声を上げながら、消えた。

「薫、こっちはもう大丈夫だ」
 久臣の声に薫が振り向くと、ゴーストの数は更に減っていた。
「―思い切りやれ」
 久臣の龍尾脚が、ゴーストを次々と薙ぎ『祓う』。少し離れて、鋼誠の紅蓮撃がリビングデッドを粉砕する。
「ん…」
 薫が車輪に向き直る。その背中を狙ったゴーストが、彩華の放つ炎に焼かれ消滅した。
「背中はお任せください。―存分に」
 白銀の鎖鎌が、周囲に燃え上がる炎で紅くきらめく。菱形の刃を模った分銅が振り回され、風を切って唸る。その音は、まるで吹雪が如く。
『バカニスルナ!バカニスルナ!ツブス、ツブスゥゥゥゥゥ!』
 車輪が激しく回転し、薫とアニキを潰しにかかる。しかし、徐に持ちあげられた細身の鎌と細身の剣が、その見た目から想像もできないほどの力で車輪を受け止めた。
『ンナッ!?』
「その、耳障りな声…そろそろ、聞き飽きた…」
 薫の双眸が細まり、アニキがカタカタと嗤うように骨を鳴らす。
『フヒ、ヒィ…』
 怖気づいたかのように、のろのろと元の位置に下がる車輪。今にも命乞いを始めそうなまでに醜く引き攣った顔を見て、しかし薫は情けをかけない。

 ―今更、復讐なんて…とは思う。
 ―でも、けじめは…つける。

「アニキ!『車輪』を『狙って』!」
『ヒィィ!クルナ、クルナァァァァァ!!』
 薫が分銅を振りかぶり、アニキが飛び出す。薫の分銅に反応した車輪は、仰向けに倒れ―人間で言うなら、身体を反らしたと言ったところだろうか―分銅を避けんとする。
 その行動で上を向いた目に、剣を逆手に持った骸骨が映る。飛び上がり、レイピアを突き立てんと急降下するアニキの姿が。
『ギャアァァァァァ!』
 取り乱し、ひっくり返るように飛び退く車輪。車輪が一瞬前まで居た空間を、アニキのレイピアが鋭く貫く。
 床にレイピアを突き立て、しゃがみ込むアニキ。その後ろから、風を切り薫の分銅が真っすぐ、転げた車輪の顔面に吸い込まれるように飛ぶ。
『ナ、ナゼッ…!』
 タネを明かせば大したことは無い。薫は振りかぶったが、投げるフリだけした。車輪は早とちりし、わざわざ回避のおぼつかない体勢になったに過ぎない。
 薫の言う『狙って』は、アニキとのコンビネーションを狙うための指示。薫の攻撃に気をとられた敵を、アニキが全力で攻撃する―あるいは、その“逆”。

 すとっ。

 車輪の眉間に、分銅が軽い調子で刺さった。鎖を引いて引き抜くと、血の代わりに火の粉が飛び散る。
 散る花のように火の粉が舞い落ちると、車輪はうめき声を残しながら、己の炎に焼き尽くされた。

「薫。勝負に水を差して、ごめんな」
 残ったゴーストの殲滅は簡単だった。やがて全てのゴーストを倒し終えた一行は、ビルを一階一階降りていく。
「気にしないで…」
 久臣の言葉に首を振る薫。少し考えながら、ゆっくり続ける。
「皆の力が、僕の力だから…僕の力は、皆の力…皆で戦うなら、皆に有用なように…僕の力も、使わなきゃね…」
 薫の言葉に、「そっか」と少し表情を緩める久臣。
「そうそう、お前の戦いは俺の戦いでもあるんだ、ってな。それも一つの仲間の形だろ。…ともあれ、今回も全員無事で良かったなー」
 けらけらと軽く笑う鋼誠の言葉に、薫はこくこくと頷く。
「何が良かったかって…アニキが、無事だった事だよね…特に今回は、図らずも仇打ちができたから…このまま成仏したら、どうしようかと思ったよ…」
 いつになく饒舌な様子の薫の軽口に、アニキが「カタッ」と驚いたように薫を見る。「おいおい酷いな、さすがにそれは無いって!」とでも言いたいのだろうか、戦闘中とは打って変わってどこかコミカルなその動きに、誰からともなく笑みがこぼれる。

 ―その瞬間、薫が珍しく相好を崩していた事に、誰か意識を向けただろうか。
 それは小さく、あまりにも自然だったから、誰も不思議に思わなかったかも知れない。
 誰も不思議に思わないくらい、友達で、仲間だから。
『その力と、そこの骨…他あらゆる事を、まとめて解決できるかも知れん』
 その言葉が、偶然か、必然か―知る由は無い。

 どちらにせよ、解決したのは確かなのだから…それで、良いのだろう。

(終わり)
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このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。  イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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