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TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
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!CAUTION!
蛍月は注意したつもりですが、キャラ違いの可能性があります。
軽いジョークのつもりでお付き合いください。

※問題があればお手数ですがご連絡願います

・・・

 甚だ唐突ではあるが、夏=海=海の家なんてイメージも無くはないのではないだろうか?
 そういう訳で、敢えて「夏らしく」と切り出させて頂くが――夏らしく、海の家のある浜辺の物語など、紡がせて頂きたい。
 尚この物語は、8月某日、某所のビーチを舞台としている。

 一行が海へ来たのは、鋼誠からのメールがきっかけであった。
『今、海の家で手伝いをしてるんだが。よかったら、遊びに来ないか?』
「――という訳で、来てみたけど……」
 嘉凪・綾乃が視線を巡らし、目的とする海の家を探す。やがて、ビーチの一角にやたらと人が集まっているエリアを見つけた。
「あ、あそこじゃないかな?」
 渡会・綾乃もその事に気がついたらしく、人だかりのある方角を指す。
「そうだね。他にそれらしい施設も無いし……」
「……今は丁度昼時、か」
 別の方向に視線を送る恭一と、腕の時計を見る伊知郎。
「では、まずは行ってみましょうか。他にアテがあるでもありませんし」
 そして、頷くフォア。5人はコンクリートの道路から砂浜に降り立ち、夏の日差しを浴びながら歩き始めた。

◆◆◆

「らっしゃ……お、来たか!」
 5人が辿りついた人ごみの中には平屋建ての小屋があり、そこには鉄板と寸胴を相手に格闘する鬼――もとい、鋼誠が居た。髪の毛を覆うようにタオルを巻いた彼は既に無双状態にあるらしく、心なしか露出した二の腕や額が輝いているように見える。汗以外の何かで。
「うんうん、約束通り来たよー」
「相変わらずのようだな、鋼誠」
 腕を止めずに「わざわざありがとなー」と返す鋼誠(無双状態)の姿を見て、フォアがふと首を傾げる。
「随分と繁盛していらっしゃいますわね。その割には、お店番が少ないような……」
 恭一もその事に気がついたらしく、「確かに」と口にする。
改めて店内を見ると、厨房に立つのは鋼誠(無双状態)のみ、テーブルを忙しそうに歩きまわっているのも初老の男性が1人だ。
「本当、これじゃ大変じゃない。鋼誠、店員さんは他にいないの?」
「おう、あと1人茶髪のが手伝いに来てるぜ。休憩中だが」
 この忙しい時間帯にこの人数なのに休憩とはどういう勤務体制なんだ、という疑問がふと頭をよぎるがまあ良いとしよう。
「いや、手伝いに来て2日目くらいまでは全然大丈夫だったんだよ。こんな客いなかったし。どういうワケか、3日目辺りから急に人が増えてなあ……」
「……まだ夏休み真っ最中だし、天候もここ最近は似たような感じだったね」
 恭一が分析を始める。天候等に関しては実際その通りなので、客が増えたのはどう考えても鋼誠の料理のせいである。大方、口コミで広がってしまったのだろう。
「そうですわ、もしよろしければ、わたくしもお手伝いを」
 手を打つフォアに、鋼誠が若干驚いた表情を見せる。
「何?や、確かにフォアサンが手伝ってくれりゃ心強いが……」
 そりゃさすがに申し訳ないぞ、と鋼誠が続ける前に、フォアはあっという間に初老の男性に声をかけ、話を通してしまう。余ったエプロンを身に着けたフォアが、「おまかせくださいな」と柔らかく微笑んだ。

 ――やがて。
 フォアが手伝いに入った事で、回転が良くなった――かに見えたが。
「……ねえ、綾ちゃん。何か、お客さん増えてない?」
「うん、さっきより明らかに多くなってると思う……それも、男の人ばかり……」
 弁当屋の看板娘は伊達ではなかった。

◆◆◆

 さて。お昼のラッシュも一段落し、鋼誠(無双状態)1人でも十分捌けるようになった頃の事である。
 バイトの茶髪が鋼誠に睨まれているのを後目に、水着姿になった女性陣が顔を出す。
「じゃあ、私達ちょっと行ってくるね。伊知郎と恭一は?」
「ああ、もう少ししたら行こう」
「そう?じゃあ先に行ってるから」
 そう言って海に向かう嘉凪・綾乃を先頭に、徐々に小さくなる女性陣。そんな3人の影を目で追うのは、残った伊知郎達だけではなかった。周囲の海水浴客――具体的に言えば、主に男性――もまた、その姿を追う。
 ここで触れておかなければならないのが、銀誓館学園の特徴である。
 どういうわけかこの学園、美男美女率がやたらと高い。全校生徒の半数以上が美男美女なら、「やたらと高い」と言っても語弊は無いのではないだろうか。
 そして彼女たちも例外ではない。勿論、男性陣も美男子トリオである。少なくとも、筆者目線では間違いなくそうだ。異議は認めない。
 ……話が逸れる前に戻すが、もしよろしければ美女3人が水着姿で長い髪をなびかせ歩いているところを想像してほしい。世の男性の目が釘付けになるのは自然だろう。
「……なあ功刀サン、神谷」
「……何だ、鋼誠」
「どうかしたかい?」
 不意に鋼誠が口を開く。
「何でだろうな、綾乃の綺麗な水着姿が見られて凄く嬉しいんだが、同時に何かすげえムカつく。主に周囲の目が」
「奇遇だな鋼誠、俺も今似たような事を考えていた」
 ははは、と笑い合う2人だが、何やら鋼誠の周りには陽炎が見える気がするし伊知郎の周囲だけ気温が低い気がする。
「……やれやれ」
 恐ろしい気を放つ2人から、少しでも距離をとろうと後退りする茶髪を一瞥し、苦笑するしかない恭一だった。

◆◆◆

「おーい、ソコの白髪のにーちゃん!」
 2人が鎮まった頃、不意に外から声がかかる。視線を移すと、サングラスにツンツン頭といういかにも軽そうな男が走ってくるのが見えた。
「……私だろうか」
「せや、アンタや。にーちゃんええ身体しとるし、もし良かったらワイらとビーチバレーせぇへん?人数足らへんで困っとってん」
 唐突である。
「誘いはありがたいが、連れがいるのでな」
 当然の如く冷静かつ丁重に断ろうとした伊知郎だが、
「連れ?ここのにーちゃん達?あ、それとも『コレ』?せやったら好都合やん、ええとこ見したろーやないか!な?」
「いや、しかし……」
「よーし、そったら1名様ご案内!メガネのにーちゃん、このにーちゃん借りてくさかい、もし良かったらにーちゃんの良い人に教えたって!」
「いや、だからだな……」
「あ、ルール分かる?まあガッコでやるバレーボールに毛が生えたようなモンや、どうとでもなるでー」
「だから私は……」
勢いで連れて行かれてしまった。しばらく唖然としていた鋼誠と恭一だが、
「……意外だ、まさか功刀サンが連れて行かれるとは」
「訛りからして関西の方の人だったようだし、勢いで勝っていたのかもね……とにかく、皆に声をかけてくるよ」
嘉凪さんなら「伊知郎頑張って!」とでも言いそうだけどね、と漏らしつつ、恭一は女性陣の元へ向かった。

「鋼誠、伊知郎は?」
「ん、あっちだぜ」
 鋼誠が指した方向には、黒山の人だかりが見える。その隙間から覗くのは――
「ほな、頼むで!」
「任せてくれ」
 ツンツン頭が上げたトスを、高々と飛び上がり鋭いスパイクに繋げる伊知郎。引き締まった肉体、飛び散る汗、鋭い眼光……これ以上詳しく描写すると筆者が惚れてしまいそうなので辞めておくが、とにかく恐ろしい程格好良い姿である。『ビーチの貴公子』とか称号がついても違和感が無さそうだ。
「わー、功刀先輩かっこいい!ね、綾乃……ちゃ、ん?」
 渡会・綾乃の言葉が尻すぼみになったのは、嘉凪・綾乃の表情が何か微妙なものに見えたからだ。
「綾乃ちゃん、どうかした?」
「え!?いや、何でもないよ!?」
(……やっぱり、功刀さんに対する他の人の視線とか気になるのかしら?)
 その様子を見て、くすりと微笑むフォアだった。

◆◆◆

「おー、盛り上がってんなー向こう」
「そうだね」
 けらけら笑う鋼誠と、微笑む恭一。そんな2人に声をかけたのは、(ある意味意外な事に)バイトの茶髪だった。
「鋼誠の兄貴、お友達さんと一緒に行ってきたらどうスか?」
 茶髪と鋼誠の間に何があったのかは置いておくとして、そんな流れで伊知郎達の元へ向かった。
 事件はその時起こる。
「……おい、大丈夫か?」
 伊知郎がツンツン頭に声をかける。見ると、ツンツン頭は見るからにバテている様子で、呼吸も苦しげだ。
「あー……アカン、調子こいて楽しみ過ぎてまったかも知れへん……」
 そう呟くと、その場に蹲ってしまう。次第にギャラリーの間にざわめきが広がり始め――そこへ来たのが、鋼誠と恭一だった。
「お?何か騒がしいが、どうした?」
「待って。これは――」
 恭一がツンツン頭の状態を素早く確認する。
「これは日射病の症状だ……鬼頭君、海の家に運んで応急処置をする。手伝ってくれるかい?」
「よし来た」
「私も手伝おう」
 恭一を筆頭に、鋼誠、伊知郎がテキパキと準備を整え、海の上に運び応急処置を開始する。
「あ、日射病になっちゃったんだ……早く元気になると良いけど」
「ね、大丈夫かな……」
 そんな会話を交わす2人の綾乃の耳に、ふと不謹慎な声が届く。
『ね、さっき倒れた人を助けた人達……』
『うんうん、カッコよかったよねー。私もあんな人達に助けられるなら、倒れても良いかもー(笑)』
『ちょっとやめてよー、周りに迷惑かかるじゃなーい(笑)』
 まあ、確かにタイミングよく現れたイケメンが颯爽と人を助けていたら、思わずそんな感想を抱くこともあるかも知れないが……不謹慎な感想と視線に、色々な意味でモヤモヤする綾乃達。傍らで見守るフォアも苦笑するしかないのだった。

◆◆◆

 夜。海の家の主人(言い忘れていたが、初老の男性がそうである)の好意で、海の家でささやかな食事会を開く一行。主人が焼そばなどの軽食を振る舞い、茶髪が給仕を行う……本当に何があったのだろうかこの茶髪。
「にしても、なあ……」
「鋼誠、どうしたの?」
 頭をかく鋼誠に、渡会・綾乃が不思議そうに首を傾げる。
「や、今日な。綾乃の水着姿を他の男どもにじろじろ見られたのが何かこう……」
 顔を赤らめそんな事を言う鋼誠。当然、急にそんな事を言われた渡会・綾乃も真っ赤になって「あうあう」言っているわけだが……天然タラシ恐るべし。
 一方で、これは良い感じかな?などとニヤニヤしているもう1人の綾乃だが、
「私も鋼誠と同意見だ。綾乃の綺麗な水着姿を衆目に晒すのは些か勿体無い」
「ふぇっ!?い、伊知郎さんは何を……!」
さらりと言ってのける伊知郎に思わず噴き出す始末。
「……まったく、見ているこっちが恥ずかしくなるようだ」
「本当ですわね。でも、それだけ仲が良いという事……素敵ではありませんの?」
 傍らで苦笑を交わす恭一とフォア。そんな彼らのカップにジュースを注ぐ茶髪の一言を最後に、筆者は夏の夜を彼らに委ねるとしよう――

「いやあ、青春って良いっスね!」
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このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。  イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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