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天狗伝説――
少女の願いは、届くのだろうか。

・・・

 常陸国――現在の茨城県の住人に猿田氏があるが、猿田氏は天狗の原形とされる神・サルタヒコの末裔とされる。サルタヒコを御祭神として祀る神社で有名なのは三重県の猿田彦神社や椿大神社であるが、子孫の伝承が残る地で「天狗に会った」と言うならば、まずそちらに天狗に至る何かがある、と考えるのは妥当であろう。
 そう考えた少女たち一行は――
「――来ました!」
「こっちだ、急げ!」
 天狗の姿をした地縛霊の群れに追われ、茨城県のとある枯れ山を駆け上っていた。

●彼の山を
 装備が比較的軽い嘉凪・綾乃(緋楼蘭・b65487)や鬼頭・鋼誠(鬼鋼蜘蛛の吼切・b70561)がまず飛び出し、全力で走り抜ける。逆に素早い行動に不向きな和弓を抱えたフォア・トンユエ(正しき闇の導き手・b61331)は、河瀬・彩華(静謐の紫陽花・b73853)に導かれることでより迅速に駆け抜ける。
 次いで渡会・綾乃(鬼鋼蜘蛛の巫女・b74204)が眞我妻・姫香(飯綱渡りの鬼鋏・b76235)を引き連れ、突き抜けるように走るのを目で追いながら、イクス・イシュバーン(高校生魔剣士・b70510)と功刀・伊知郎(深紅の錬士・b65782)、そして神谷・恭一(高校生科学人間・b73549)が後ろにつくように走る。伊知郎が頭上に剣を掲げて回す頃には、周囲にはかなりの数の天狗が集まっていた。
「何て数……本当にどっから沸いて出てくるのよ」
 少しだけ振り返った嘉凪・綾乃が少し青い顔をして、逃げるように走る。その後を追うように、鋼誠が彩華とフォアを誘導しつつ、
「邪魔だ、燃えろ!」
脇から迫っていた天狗に妖気の炎を叩きつけた。天狗はぎぇ、と耳障りな悲鳴を残し、一撃で消滅した。
「どいてくださいっ!」
「邪魔はさせないんだから!」
 姫香の三日月を描く蹴りが、渡会・綾乃の獣のオーラを纏った獣爪が天狗を打ち倒す。しかし、その後ろからも天狗が迫るのが見え、その数に戦慄する。
 その内の一体が先行組に迫るが、イクスの闇のオーラを纏った刃がそれを許さない。
「先に進んでください」
「下がれ。お前たちの相手をしている程、此方も暇ではない」
 イクスが先行組を促すとほぼ同時、逆側から飛び出した天狗を伊知郎が黒影剣で切り捨て、周囲の天狗を睨みつけると、その気迫に天狗達が僅かに怯む。恭一はそれを見逃さず最短距離を迅速に切り抜ける。すれ違いざまに振るわれたプログラムを纏う拳が天狗の急所を正確に捉え、力だけでなく活動そのものを強制停止させた。

 競り合いの中先頭を走る嘉凪・綾乃は、ある所まで来て空気の変化を感じた。それはまるで、淀んだ濃霧が急に晴れたかのような、清浄な空気の感覚――それに気付いて慌てて振り返ると、自分の近くまで迫っていた天狗が急に方向を変え、他の者へと狙いを定めている光景が見えた。
「皆、ここ!ここまで来れば、天狗達は追って来ない!」
 天狗の包囲網が狭まりつつある中の、奥の方まで届くよう力の限り呼びかける。鋼誠と彩華がいち早く反応し、範囲外ぎりぎりまで走ると付近の天狗を霧の分身を伴う掌打で片付けた。それにより生じた隙間を縫うように渡会・綾乃が抜け、後方にいたイクスと伊知郎がフォアに追いつく。それに恭一が続く間に、前方に躍り出た姫香が高速で回転して数体の天狗を切り刻んだ。
「……妖シ輩ヨ、奔レ!」
 狐の耳と尻尾を生やしたフォアが小妖怪の幻影を宿した小石を周囲に飛ばし、それを助けるように嘉凪・綾乃が吹雪を巻き起こす。
「道を開きます」
 彩華が炎の魔弾を呼び出し、アヤカシと吹雪の二重攻撃を逃れた天狗を焼き払う。
「こっちだ!」
「急いで!」
 鋼誠と渡会・綾乃が天狗を殴り飛ばし、道をさらに大きくこじ開けると、フォアと姫香が範囲外へ駆け抜ける。その穴を埋めるように天狗が動き出すが、
「……邪魔な敵は排除する」
イクスの放った黒燐蟲の群れがそのことごとくを貪り尽くし、出来た隙間を伊知郎と恭一が埋め、天狗達に刃を向けた。仲間が牽制する中を、イクスが最後に駆け抜けていく。
 こうして一行は幸いにも、ほぼ無傷で村落へ入ることができたのであった。

●彼の山にて
「ここが、例の村?」
「そのはずだ。だよな、姫香?」
 鋼誠の言葉に、姫香が頷く。
「はい、確かにここだったかと……私が去る時より、荒廃が進んでいるようですが」
 少し悲しげな顔をした姫香を励ますように、一行は明るく探索を開始した。

(これは……思ったより難題かな)
 地図を作成するために村を歩きまわってみることにした恭一だが、内心で舌打ちする。
 スーパーGPSを有効に使うための地図は、なるべく正確である必要がある。そのような地図を作るためには、それなりの時間と器具等が必要になるが、捜索をしながら、それも自分とあと八人分作るとなると、たとえこの村がそれほど広くないとしても、少々骨が折れるかもしれない。
(……仕方が無い、か。出来るだけはやってみよう)
 そんな恭一に同行を申し出たのは伊知郎だ。
「単独行動は、有事の際に危険だ。私が周囲の警戒を担当するから、神谷は作業に専念してくれ」
 恭一はありがとう、と一言礼を言うと、再び地図作りと周辺の散策を始める。
 そんな二人を横目で見ながら村を歩きまわっているのは渡会・綾乃。周辺の警戒をしつつ、違和感を感じる点が村内に無いかを探す。
「どうだ、何か見つかりそうか?」
 近くにいた鋼誠が声をかけるが、彼女は首を振る。
「でも、まだ始まったばかりだから……焦らず、のんびりと、だね。気長に探してみよう?」
(……私自身もだけど、戦闘後だし、神経が余計に張り詰めているのかも)
 鋼誠がどこか急いでいるように見えた渡会・綾乃は、自分にも言い聞かせるように明るく答えた。
 その一方で別方向を探す彩華。警戒を怠らないようにしつつも、まずは出来る限り多くのものを見ましょう、と周囲を歩き回る。
「せめて何か手がかりは見つけておきたいですね……」
 と、ふと何か気になるものを感じた彩華が立ち止まった。それを見たイクスが駆け寄る。
「何か分かりましたか?」
「いえ、ただ少々気になったので……少しこの周辺に焦点を絞って探索してみます」
「そうですか、ではお手伝いできることがあれば声をかけてくださいね」
 加えて周囲を警戒し、仲間の動きも把握するように心がけるイクス。邪魔が入らなければそれに越したことは無いんだけど、と呟いた。
 姫香はと言うと、ある建物の前に佇んでいた。他に比べ損傷の少ないその建物を見上げ、何やら考えこんでいる。
「姫香ちゃん、どうしたの?」
 それまでふらふらと村を歩き回っていた嘉凪・綾乃は、その様子に気がついて近づいてくる。
「あ、はい……私がここに居た頃、仮住まいとしてこの家に居たんです」
 中を見ても、天狗さんはいませんでした、と報告する姫香に、嘉凪・綾乃は努めて明るく声をかける。
「そっか。でも、ここにいなかったってだけで、他の所にいるかも知れないでしょ?……ほら、肩の力抜いて?大丈夫、絶対に。皆がいるよ」
「そうですわ」
 その様子に気がついたフォアが近付き、フォローを重ねる。
「焦りは禁物……まだ時間はありますから、じっくりと行きましょう?」
 それを聞いて安心したらしい姫香がはい、と頷くのと同時。嘉凪・綾乃が、ふと眉をひそめる。その視線の先には、森しかない。
「綾乃さん、どうかしましたか?」
「うん……今、何かいたような」
 首を傾げる嘉凪・綾乃に、フォアが声をかける。
「では、わたくしが様子を見てきますわ。念のため、皆さんに声掛けを」
 言い残して、視線の先へ向かうフォア。慎重に近づきながら様子をうかがっていたが、やがて弓を構え――
「――敵襲!妖獣が三体!」
 鋭く叫び矢を放つと、先手を打たれた妖獣が慌てたように迫る。しかし、既に付近まで来て構えていた鋼誠、イクス、伊知郎の三人組に、あっけなく返り討ちにされた。
「えらく簡単だったな」
「恐らく、あまり強い妖獣はこの辺りにはいないのだろう。……とは言え、連続して来られると厄介だな」
 早く何か見つかると良いが、とこぼす伊知郎。それぞれは再び散開し、探索を再開した。

 しばらく経って、恭一の地図が完成したのを区切りに一旦全員が集まった。
「この辺りと、この辺りと……後は、ここか」
 手製の地図を確認しながら、探索済みのエリアに印をつけていく。
「首尾はどうでしょう?」
「あまり……ってトコか。姫香の仮住まいには、いなかったんだよな?」
「はい、天狗さんの持ち物らしいものも、特には見つかりませんでした」
 この様子では、どうやら探している天狗は付近には現れていないらしい。
「――あの、一つ気になったのですが」
 失礼、と手を挙げたのは河瀬である。
「私がさっき見た建物の残骸ですが……あれは単に朽ちたのではなく、何者かによる破壊の跡が見られました」
「破壊?」
「ええ。あれは、明らかな外力によるもの……それで眞我妻様。その天狗さんという方は、何か武器を持っていましたか?」
 彩華の言葉に、姫香は首を傾げる。
「確か……ナイフのように鋭い羽をもつ扇と、飛天下駄だったかと…」
 飛天下駄はこういうのです、と自身の下駄型エアシューズを見せる姫香。
「……では、天狗さんによるものではなさそうですね」
 その破壊の跡は、かなりの力で鈍器を振り回したようなものだったという。妖獣の仕業でしょうか、と考える彩華に、フォアが待ったをかける。
「先程の天狗の地縛霊の一件もありますわ。家屋を破壊する程度の力を持った、何か別の存在にも注意した方が良いかも知れませんわね」
 その発言を受け、今度は恭一が手を上げる。
「そういえば、その地縛霊なんだけど。何故、一定の範囲までしか追って来なかったんだろう」
 妖獣は村まで入ってきたよね、と首を傾げる。
「確かに……何か、理由があるのかも知れませんわね」
 取りあえず情報をまとめた一行は、嘉凪・綾乃が持ってきた飲み物を飲み一息ついたところで、休憩を終わらせ探索に戻った。

 現場百回だとか現場百遍だとかいう言葉がある。どんな事件でも、現場に繰り返し赴けば、その内に重要な手掛かりが見つかることもある――刑事の心得を説いた言葉である。
 恭一はそんな事を考えながら、地図制作のためあまりよく見られなかった所に再度訪れていた。
「ん?」
「どうしたの、恭ちゃん?」
「いや――この場所。建物が倒壊しただけかと思ってたけど……これは……」
 瓦礫の山を調べ始めた恭一は、やがて瓦礫をどかすための人手を募った。

 一方。彩華を始め数名は、先程見かけたという破壊の跡を調べていた。
「あ、これは……」
「何かお分かりですの?……これは、刀傷……?」
 ひしゃげた柱には、よく見ると刃物による傷も刻まれている。それも、何かの目印というには妙に乱雑に。
「あ!あの、これを!」
 隣の建物を指差す姫香。その指し示す先には、同じく乱雑な傷や殴打の跡。
「……ねえ、もしかしてこれ、あっちまで続いてたりしないかな?」
 推理というよりは直感で言った嘉凪・綾乃だが、それは正解であった。その傷跡は、まるで――
「――誰かが戦いながら、進んだ……?」

 傷跡を追ってみると、恭一達が瓦礫をどかしている所へ出くわした。さすがに力自慢が三人いるだけあって、作業ははかどっているようだった。
 そして、瓦礫の下から現れたのは――
「――井戸?しかも、でかいな……」
 鋼誠と恭一、それにフォアが注意深く覗きこむが、
「何も無いな……特に何かいるでも、あるでもなし……」
「でも、瓦礫に埋まっていた、その埋まり方に違和感があった。まるで、意図的に井戸を埋めたかのようだった」
「つまり、井戸を埋めるか、隠すかする必要が――」
 その時。空気が変わり、その辺一帯を異様な寒気が覆う。
「……やだ、何これ。その井戸、凄く嫌な感じがする……」
「何があるか分からないのだから、長居は無用だな。ここは一旦引いて――」
 渡会・綾乃の様子を見て伊知郎がそう言った、正にその瞬間。井戸周辺の空間が歪み、何かに引きずり込まれるような感覚が一行を襲い――

――そこには、誰の姿も残されていなかった。

・・・

冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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男性
自己紹介:
このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。  イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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