TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
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――人は、理由に縛られる。
いつだって、誰だって。
いつだって、誰だって。
・・・
人は、理由に縛られる生き物だ。
それが原因なのか結果なのか、そのくらいの違いはあれど。
例え後付けであっても、誰もが理由を欲しがる。
……そういえば。
私のそれは、何だったかしら?
◆
私が奴に従属したのは、いつ、どうしてだったか、キチンと覚えていない。
……もしかしたら「不要なもの」と判断されて、消えゆく記憶の中でもかなり初期の方に消えてしまったのかも知れない。
たまたま狙われて、殺されてしまったのか。
何かの為に戦って、力が及ばなかったのか。
とにかく、私は死んだ。
死んで……奴のものと、なった。
記憶が、意思が、緩やかに、溶けるように、消えていく。
吐きそうなほど不快なようで、快楽に溺れとろけるようで……
私が私でなくなる事に、抵抗できないのか、抵抗したくないのか、もう判断がつかない。
ただ、使役されるだけの存在に変わりつつある、そんな日々に在ってなお、私の中に輝くものがあった。
赤茶の髪。
金の瞳。
可愛い、あの子。
愛しの、我が子。
『――我が力を?』
「ええ」
奴は、人の心を見透かす力を持っている。
私は奴に、その力を分けろ、と言った。
「その力があれば、仕事はもっと容易くできるわ。……もちろん、それとは別に私なりの目的もあるけれど」
『まあ、そうであろうな』
嘘をついてもしょうがないので、正直に話す。そう、私には目的がある。
『良いだろう。我が為に働く、その事を忘れぬなら後は好きにすると良い』
そうして私は、人としてのまともさと引き換えに、人の心を読めるようになった。
色々な人の心を読んだ。
時には、心の隙間につけ込むように、奴の元へ誘導しながら。
奴に生贄を捧げる、それが私の仕事。
そして――
「――見つ、けた」
とうとう見つけたのだ。あの子を知る人を。
「銀誓館、学園……」
特徴的なデザインの制服を着た、小学生くらいの子供。
その子の心の一部に引っかかるように、あの子は確かに『居た』。
昏く淀んだ私の日々が、急に光を取り戻したような感覚だった。
仕事をこなして、学園の事を調べて、或いは彼女自身の事を調べて……少しだけ、日々が忙しくなる。
それでも、幸せだった。満ち足りた気がした。
已むに已まれず彼女を手放したあの日から、空っぽになっていた心が……ようやく、満たされていく……
……生命の残滓と、引き換えに。
そして。
破綻は訪れる。
あの子を遠目に見て過ごす日々。
ふとした悪戯心に近い感覚で、ふと彼女の心を読んでみた。――読んで、しまった。
彼女の心が、記憶が、流れ込んでくる。
(……ああ)
分かっていた事とは言え、自分でも驚くほど落胆してしまった。
(やっぱり、覚えていないのね……私の事……)
とうに枯れたはずの涙がこみ上げてくるような、そんな寂しさが隙間だらけの心に広がって――
(――あ)
見えた。
(あ、ああ……)
あの子の、心の闇。
(なんて、こと――)
自身がただの人でないと知った、その瞬間の驚き、怒り、哀しみ――ある種の、絶望。
(私の……)
人でない親より生まれ、人として育った、それ故の――
(私の、せい、でっ……!)
――そして。
私は、決意した。
共に行こう、と。
私が、責任を持って。
あの子が、これ以上哀しまないように。
いっそ、この手で――
人は、理由に縛られる。
私にとっては、あの子こそが、私を縛る理由。
それが、どんな道でも――すべては、あの子の為。
・・・
ちょっと書きたかった外伝。
彼女は、本当に可哀想な女性だったんです。
人は、理由に縛られる生き物だ。
それが原因なのか結果なのか、そのくらいの違いはあれど。
例え後付けであっても、誰もが理由を欲しがる。
……そういえば。
私のそれは、何だったかしら?
◆
私が奴に従属したのは、いつ、どうしてだったか、キチンと覚えていない。
……もしかしたら「不要なもの」と判断されて、消えゆく記憶の中でもかなり初期の方に消えてしまったのかも知れない。
たまたま狙われて、殺されてしまったのか。
何かの為に戦って、力が及ばなかったのか。
とにかく、私は死んだ。
死んで……奴のものと、なった。
記憶が、意思が、緩やかに、溶けるように、消えていく。
吐きそうなほど不快なようで、快楽に溺れとろけるようで……
私が私でなくなる事に、抵抗できないのか、抵抗したくないのか、もう判断がつかない。
ただ、使役されるだけの存在に変わりつつある、そんな日々に在ってなお、私の中に輝くものがあった。
赤茶の髪。
金の瞳。
可愛い、あの子。
愛しの、我が子。
『――我が力を?』
「ええ」
奴は、人の心を見透かす力を持っている。
私は奴に、その力を分けろ、と言った。
「その力があれば、仕事はもっと容易くできるわ。……もちろん、それとは別に私なりの目的もあるけれど」
『まあ、そうであろうな』
嘘をついてもしょうがないので、正直に話す。そう、私には目的がある。
『良いだろう。我が為に働く、その事を忘れぬなら後は好きにすると良い』
そうして私は、人としてのまともさと引き換えに、人の心を読めるようになった。
色々な人の心を読んだ。
時には、心の隙間につけ込むように、奴の元へ誘導しながら。
奴に生贄を捧げる、それが私の仕事。
そして――
「――見つ、けた」
とうとう見つけたのだ。あの子を知る人を。
「銀誓館、学園……」
特徴的なデザインの制服を着た、小学生くらいの子供。
その子の心の一部に引っかかるように、あの子は確かに『居た』。
昏く淀んだ私の日々が、急に光を取り戻したような感覚だった。
仕事をこなして、学園の事を調べて、或いは彼女自身の事を調べて……少しだけ、日々が忙しくなる。
それでも、幸せだった。満ち足りた気がした。
已むに已まれず彼女を手放したあの日から、空っぽになっていた心が……ようやく、満たされていく……
……生命の残滓と、引き換えに。
そして。
破綻は訪れる。
あの子を遠目に見て過ごす日々。
ふとした悪戯心に近い感覚で、ふと彼女の心を読んでみた。――読んで、しまった。
彼女の心が、記憶が、流れ込んでくる。
(……ああ)
分かっていた事とは言え、自分でも驚くほど落胆してしまった。
(やっぱり、覚えていないのね……私の事……)
とうに枯れたはずの涙がこみ上げてくるような、そんな寂しさが隙間だらけの心に広がって――
(――あ)
見えた。
(あ、ああ……)
あの子の、心の闇。
(なんて、こと――)
自身がただの人でないと知った、その瞬間の驚き、怒り、哀しみ――ある種の、絶望。
(私の……)
人でない親より生まれ、人として育った、それ故の――
(私の、せい、でっ……!)
――そして。
私は、決意した。
共に行こう、と。
私が、責任を持って。
あの子が、これ以上哀しまないように。
いっそ、この手で――
人は、理由に縛られる。
私にとっては、あの子こそが、私を縛る理由。
それが、どんな道でも――すべては、あの子の為。
・・・
ちょっと書きたかった外伝。
彼女は、本当に可哀想な女性だったんです。
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ここの管理人
HN:
蛍月
性別:
男性
自己紹介:
このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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