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TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
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―それは、冷たい雨の日。

「…駄目だな、さっぱりだ」
外来語の類が、全く頭に入らない。現代というのは、本当におかしなモンだ。
「それはお前の頭の構造に問題がある。せいぜい頑張れ」
カラカラと、前を歩く巫女が笑う。…コイツ、本当に俺の養育係なんだろうか。

 俺たちは、日本のあちこちを旅していた。養育係の巫女の勧めで、現代日本の見聞を広めるためだ。
 その旅の道中、わざと人の寄りつかないような所に、足を踏み入れることがある。何故なら、そういった場所には、地縛霊が出ることがある―そう、その地縛霊と戦い、斃すためだ。
 日々の修練は、もちろん欠かさない。しかし、やはり実戦に勝る修行は無い。心・技・体をどれだけ鍛え上げても、結局は経験がものを言う。戦とは、そういうものなのだろう。

 この日も、人里離れた山中へ。間もなく見えた寺は大分前にうち棄てられたらしく、人の居た頃など見る影もない。
「ほう…これはまた見事な廃寺だな」
感心したような声。緊張感があるのか無いのか分からない。そして―
「言ってる場合かよ…さっそくお出ましだぜ」
その声に反応したのか、足を踏み入れて早々に地縛霊が現れる。ソイツは襤褸切れのような袈裟をまとい、頭がぱっくりと割れた坊主の地縛霊だった。この寺の住職―だったモノ―だろうか。
 その脇に、大きな犬が控えている。…犬と言うには、少々デカい上に爪が異常に厳ついが。数は―
「…2匹。面倒だな」
 面倒そうな呟き。
「だな。…とっとと片付けよう、ぜ!」
 体内で練った糸を一気に解放する。不意を突かれた坊主と犬が、ことごとく糸にかかる。
「上出来だ。―はあッ!」
 裂帛の気合と共に振り下ろされる太刀。犬が悲鳴じみた鳴き声を上げる。
「安心しろ、今すぐ楽にしてやるからよ!」
 坊主たちが動けないのを良い事に、俺も一撃―鬼面による渾身の頭突き―を犬に加える。必殺の一撃が決まったようで、犬はきゃいん、と顔に似合わない声で鳴き、消滅した。
「やればできるじゃないか」
 言いながら、土蜘蛛の霊を召喚する呪文。祖霊が鬼面に力を与えた―その時だった。

「ヴァア゛ア゛ア゛ア゛!」
「なっ…!」

坊主が唐突に糸の呪縛を逃れたかと思うと、呪詛を紡いで俺にぶつけてきた。反応が遅れた俺は呪詛の力をまともに受け、おまけに体が見えない力で縛られた。
「がッ!?」
「鋼誠!」
 叫び声。俺の目前には、同じく呪縛を逃れたらしい犬の巨躯が迫る。体をよじって防御しようとするが、間に合わない―!

 ドッ

 ―鈍い音。胸の痛み。だが、妙に浅い―
 反射的に閉じていた目を開くと、目の前には、見知った顔。
 視線を下へ。胸元。飛び出た、赤黒い、厳つい爪。
 噴きだす、赤い液体。生臭い鉄の臭い。

 ―動けない。呪縛が、まだ俺の体を縛っている。
 呪詛の声。目の前の体が跳ねる。
 抜けない爪に怒り、後頭部を幾度も殴り裂く犬の脚。
 目の前のソイツは動けない。爪が刺さってるから。俺を庇ってるから。
 再び、坊主と犬の攻撃。
 繰り返される、一方的な暴力。
 まるで私刑。

 やめろ。
 やめてくれ。
 死んじまう―

 「―鋼誠!殺れ!」
 我に返る。後ろ手に持たれた太刀が、犬の腹を突き刺している。
 呪縛は解けている。体が動く。

「オアアアアアアアッ!」
 紅蓮の炎が、鬼面の角を熱する。

 ―その後の事は、よく覚えていない。気がつけば坊主も犬もいなくなり、俺は虫の息の巫女を抱えていた。
「馬鹿野郎!何でかばった!俺の方が頑丈だろうが!」
「…へへ…何でか、ねえ…ヤキが、回った…とか…」
「馬鹿、野郎…」
声が、うまく出ない。
「…ったく…なんて、顔、してる……笑、えよ」
「…あ…?」
「……男子、たる…者……しょぼ、くれた…顔、する、ものじゃ…ない…」
「…な事…言われたって、よ……」
目を、閉じた。もう…幾許の時も、無い。
「………ふふ……最、期、まで…不、安………な………」


―俺は、とうとう笑えなかった。


・・・

…はい、長々と微グロ駄文本当に申し訳ないですorz
小説の勉強しときゃよかった…!

鋼誠君が、養育係の巫女と死別した日。
その巫女は、鋼誠君を庇って死にました。
今わの際、巫女は言います。「笑え」と。
「男が、しょぼくれた顔をしてるな」と。
常に堂々と前を向き、胸を張って、立ち止まらない。それが巫女の願いであり、鋼誠君の誓いです。

―鋼誠君は、その時に笑えなかったこと、今でも後悔してるようです。
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このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。  イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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