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井戸の底、闇の中。
闇を裂く、一陣の風。

・・・

●井戸の底にて
 じゃあ行くか、と腰を上げかけた天狗を、功刀・伊知郎(深紅の錬士・b65782)が手を挙げ制する。
「その前に、確実に敵を倒すため、軽く打ち合わせておきたい」
「天狗さんとレンさんも、できればそれに合わせてほしいんだけど……」
 嘉凪・綾乃(緋楼蘭・b65487)の申し出に、フォア・トンユエ(正しき闇の導き手・b61331)が丁寧に言葉を重ねる。
「お二人とわたくし達の力で鬼を撃破する上で、重要な事ですの。お願い、できませんか?」
「おう、構わんぜ。何より美女二人に頭を下げられちゃあな?」
 けらけらと笑う天狗を、レンがジト目で見ていたのは気のせいだろうか。
「私も異存はありません。それで、私達はどのように行動すれば?」
「それを含め、これからお話しします。まず陣形ですが……」
 打ち合わせは、伊知郎とイクス・イシュバーン(高校生魔剣士・b70510)を主体に進められた。それぞれの立ち位置、アビリティの使用タイミング、被ダメージ時の対応……ある程度の事を打ち合わせると、一行は今度こそ立ちあがる。
「っしゃ、大体わかった。それなら上手くいきそうだな」
「ええ。それでは、参りましょう。こちらです」

 この時は、誰も疑問に思っていなかった。
 天狗とレンが、何故、いつからここに居たのかを。

●井戸の奥には
 井戸の奥、少し開けた空間。奥の方には、まるで待ち構えるかのように『それ』が仁王立ちで佇んでいた。
「……ヤツか」
 武者鎧を纏い、斬馬刀を担ぎ、長槍を携えた巨大な鬼の地縛霊。その姿を油断無く見る鬼頭・鋼誠(鬼鋼蜘蛛の吼切・b70561)。だがその一方で、溜息をつくものもいた。
「しかし、次から次へとよくもまあ湧くことだな。少し飽食気味だよ」
「こうなったら二人のためにも、姫香ちゃんのためにも。こんな所に巣食ってる地縛霊たちはきっちり倒さないとだね」
 呆れたような、迷惑そうな顔で呟く神谷・恭一(夢幻水月・b73549)と、機嫌の悪そうな渡会・綾乃(鬼鋼蜘蛛の巫女・b74204)。
 そして。
「相手の意図は分かりませんので、わざわざ相手に付き合う理由もありません」
 特に不機嫌な空気を纏っているのが河瀬・彩華(静謐の紫陽花・b73853)。
「……と言いたいところですが、害意を放置するつもりもありませんし、主への土産話となっていただくとしましょうか」
 据わった目のまま、一歩前へ。それを皮切りに、地縛霊の周りにいた骸骨達も武器を取る。
「そうね、それじゃお邪魔な地縛霊はちゃっちゃと退場願いましょうか」
 嘉凪・綾乃が妙にいい笑顔で2本の榊を構えると、元より低い井戸の気温がさらに下がる。
「井戸の中なら、いつもよりよく凍るかもね。……さ、諸共凍りなさい!」
 叫ぶ声と共に吹き荒れる吹雪の中を、イクスの放った黒燐蟲の弾丸が突き抜けた。それは鬼の少し手前の地面で爆ぜ、鬼と数体の骸骨を貪っていく。
「刀が4、弓が3。油断するなよ」
「鬼頭様も」
 前方やや左寄りに踏み出した鋼誠と彩華が、それぞれ身を映す霧と魔法陣を展開し、反対側の右寄りでは伊知郎が頭上で剣を回転させる。
「斬り裂かれたい者から前に出ろ」
 伊知郎の挑発に呼応するかのように、刀を持つ骸骨達が動きを見せる。氷のこびり付く骨が擦れ、刃と刃がぶつかる音が響く中、その様子を注意深く観察しながら、渡会・綾乃が予定の位置に付き、深呼吸を始めた。合わせて、目に文字の洪水を浮かべる恭一と弓を構えたフォアが、追いかけるように自身の持ち場を目指す。
「頼もしい方々ですね」
 レンはどこか安心したように目を閉じると、限界まで練り上げた妖気を一気に放出した。骸骨達と鬼が、強靭な蜘蛛糸によりことごとく絡め取られ、地に伏せる。
「まったくだ。姫香、良い仲間に巡り合えたんだな」
 獰猛な笑みを浮かべて指を鳴らす天狗。その傍らの眞我妻・姫香(飯綱渡りの鬼鋏・b76235)は、嬉しそうに目を細めた。
「はい、私、幸せ者です。……だから」
 綻ばせた顔をきっと引き締めると、姫香の周囲で空気が渦巻き始める。
「おう、さっさか倒して一緒に帰るとするか」
 姫香の背中を押す天狗。彼の周囲には暴風が生まれ、その身体が僅かに浮く。
「はい……必ず、勝利を!」
 咆哮と共に蜘蛛糸を引き千切る鬼。その巨体を目がけ駆ける姫香は、渦巻く空気を膨大なエネルギーの風に変え、身にまとう。
「来るぞ!」
 鋼誠が一声叫ぶと同時、鬼が斬馬刀をひと薙ぎし衝撃波を撃ち出す。徐々に広がるそれは地面を削りながら迫るが、それぞれが跳ね、あるいは武器を構え凌ぐ。
「――遅い!」
 風のように走る姫香は勢いを殺さず、前方宙返りでそのまま衝撃波を避け、火矢をかいくぐり、事前に打ち合わせた通り伊知郎の横へ付く。
「“飯綱渡りの鬼鋏”眞我妻・姫香――参ります!」

●井戸の奥にて
 突如として現れ、瞬く間に体制を整えた能力者達。
 その動きは、鬼や骸骨達を浮足立たせるには十分だったと言えよう。
「天狗さん!」
「任せろ!」
 嘉凪・綾乃が声をかけると同時、身体を浮かせた天狗が手に持つ団扇を大きく振るう。団扇により生じた風は徐々に渦巻き、大きさを増し、やがて数本の竜巻となって地に転がる骸骨を襲い――鬼の方へと、まとめて吹き飛ばした。
「へっ、軽過ぎて手ごたえが無えぜ」
 天狗の笑い声を聞きながら飛び出した鋼誠と彩華が、蜘蛛糸を避けた弓持ちの骸骨目がけ飛び出す。
「まずはおぬしから砕いてくれるわ」
「避ける事が出来るのでしたら、ご自由に」
 鋼誠と、彩華と、二人の分身。
 四人が一斉に掌に凝縮された水のエネルギーを叩き込むと、骸骨の表面の氷が、そして骨格そのものまでもが超振動により粉々に砕け散る。
「……二人とも、機嫌悪いのカナ……」
 情け容赦のかけらも感じられない二人の爆水掌に若干の恐怖を覚えつつ、渡会・綾乃がイクスの長剣へ土蜘蛛の魂を宿らせる。
「さあ、どうでしょうね」
 と首を傾げるイクスも、
「蟲に喰われて滅びるといい」
となかなか物騒な事を言う。その手から放たれた黒い弾丸は、鬼とその周囲に飛ばされてきた骸骨を巻き込むように爆ぜ、逃げ損ねた骸骨を1体貪り尽くした。
 拘束を解いた骸骨が刀を振り上げ伊知郎を襲うが、回した長剣を握り直した伊知郎は凶刃を弾き返す。そしてその脇をすり抜けるように飛び出し、弓を持つ骸骨目がけ闇のオーラを纏う剣を振りかざす。
「後ろがお留守です!」
 伊知郎の剣に気を取られた骸骨の背後から、姫香が迫り蹴りを放つ。三日月の軌道を描く飛天下駄が、弓で辛うじて剣を受け止めた骸骨の頭部へと綺麗に吸いこまれ、大きな穴を開けた。
「お見事」
 称賛の声を上げながら前衛のやや後ろへ陣取るレン。その背後では、恭一が掌に生体電流を収束させ――
「――光の中で朽ち果てるがいい……」
 電撃の蛇は薄暗い空間を眩く照らしながら駆け抜け、骸骨と鬼を飲み込んでいく。後には、焦げた日本刀が1本、持ち主を失い転がっていた。
『グゥオアァァァ!!』
 忽ち崩される態勢に業を煮やしたか、鬼が斬馬刀を乱暴に振るう。
「うおっ!?」
「きゃっ!」
「くっ……」
 衝撃波の想像以上の速度に、防御が間に合わない者も出る中、
「……妖シ輩ヨ、奔レ」
狐の耳と尻尾を生やしたフォアが小妖怪の幻影を周囲の小石に宿し、辺り一面に飛ばす。それは仲間の傷を塞ぐ一方で、鬼たちにも襲いかかり、状況の逆転を許さない。

 だが、事故はそう予測がきくものではない。

 嘉凪・綾乃による舞が、場に癒しの力を満たす中。姫香の放った蹴りが、頭部に穴の開いた骸骨を地面に叩きつける。が――
「――え」
 潰れた骸骨の腕は、確かに弓を掲げていた。姫香の下駄を受け止めるように。
「――姫香ちゃん!」
「っ!」
 勢いを殺された姫香の身体を、行き場を失った風のエネルギーが襲う。
「誰か、眞我妻の回復を!」
 だが、渡会・綾乃は手近な骸骨に獣撃拳を放ったところ。フォアが練った妖気を解放するにはまだかかる。
「ここは僕が代わりに……」
 イクスが前に出ようとするが、姫香と位置を変えるにはやや遠い。
「おのれっ……!」
 レンの蜘蛛糸は焦りからか正確さを欠き、鬼どころか骸骨も縛れない。
「……まずいな」
 やむを得ない、と恭一が前に出て、姫香を下がらせようとする。

 間に合わない。
 全ての行動が。

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

「……綾乃さん!狙われている!」
 思わず駆けだそうとする嘉凪・綾乃をフォアが制する。骸骨の放った火矢が肩を掠め、慌てて身を引いた。
 鬼によって滅茶苦茶に振り回された長槍の柄が、姫香の小柄な体を吹き飛ばす。それを見て、冷静でいられる訳も無い。
 だが、鬼たちが待つはずも無く。陣形を崩して駆け寄るには、危険すぎる。
「……我ラニ癒シヲ、彼ラニ痛ミヲ」
「お願いっ……!」
 フォアの開放した妖気が再び小妖怪の幻影を生み出し、戦場を駆け巡る。続けて嘉凪・綾乃が呼びだした土蜘蛛の魂が姫香へ向かう。だが、倒れ伏した姫香にその効果があったのかは分からない。
「姫香!目ぇ覚ませ!」
 天狗が吼えるように叫び、骸骨へ急接近し蹴りを放つ。しかし、構えた刀を弾ききれなかった天狗の身体は浮力を失い、そのまま地面に膝をつく。
「ちっ……!」
「下がれ、お前までやられるぞ!」
 天狗に注意を促しながら、鋼誠が刀持ちの骸骨に妖気の炎を叩きつける。バラバラに吹き飛んだ骨がそのまま消炭になるのを見送り、彩華が鬼へと掌を突き出した。鬼の注意が、霧影爆水掌を放つ彩華へと僅かに逸れる。
「天狗さんは私に任せてっ!」
 渡会・綾乃の呼びだす祖霊が天狗の団扇に舞い降り、その傷を幾許か癒した。どうにか立ちあがる天狗を庇うように前に出たイクスと伊知郎が、闇色に染まる剣を交差させ骸骨を刀ごと斬り裂く。
 その時。骨の砕ける音に混じり、小さな声が聞こえた。

「……わ……し、は……」
 鈴の鳴るように可愛らしく、朝の風のように透き通った声。
「……私は、負けません」
 よろめきながら、それでも、大地をしっかりと捉え。
「約束しました。必ず……勝利をと!」
 見据える瞳に、これまでと違う輝きを宿して。
 再び立ち上がった姫香は、空間全体を巻き込むほど大きく、激しく荒れ狂う暴風を我がものとする。

「姫香ちゃん!」
「姫香!」
「無事だったか!」
 湧き上がる歓喜の声をバックに、放たれた蜘蛛糸が風に乗り、瞬く間に鬼と骸骨を締め上げた。そこですかさず放たれた一条の雷が暴風を貫き、鬼たちを焼き尽くす。風に乗り飛び交う小妖怪たちは追い打ちをかけるように地縛霊に喰らい付き、相対する能力者達に力を分け与える。
 二人の綾乃の舞が癒しの力を風に乗せ、鋼誠とレンの妖気を復活させる。ほぼ同時に、十分に体力を取り戻した天狗が立ち上がり、風を感じるように目を閉じ腕を広げる。
「……ああ、良い風じゃないか……長い事天狗やってたが、こんなに良い風は初めてだ……」
 あたかも、丘の上を吹き抜ける爽やかな風を受けるかのように、荒れ狂い駆け抜ける暴風の中を平然と立つ天狗。
「……っし、決着つけようや!」
 気合いの声と共に、自身も暴風を纏い身体を浮かせる天狗。その脇から、小さな暴風が鬼と骸骨へ向け飛び出す。その速さは、場の誰もが視認できないほど。
「――、――」
 姫香が何を言ったのかは、風の音にかき消され分からない。その内容を気にする頃には、最後の骸骨が細切れに刻まれ、風に乗り吹き飛ばされていた。
「残るは、鬼のみ」
 極限まで凝縮された妖気が2つ、巨大な紅蓮の炎となり、鬼の両脇から叩きつけられる。
「情けはかけません。悔いなく散りなさいませ」
 風にも飛ばされない霧が幻影を写し、本体と同時に鬼の前後から水のエネルギーを解放する。
「……消えろ」
「終わりだ」
 闇色の剣が4本、鬼の四肢に突き立てられる。
「邪魔をするなら、いくらでも排除するだけだ」
 プログラムの帯を絡めた拳が叩きつけられ、斬馬刀と長槍が見る間に朽ちる。
「……射ッ!」
 風に乗り加速した矢が、鬼の眉間に深々と突きささる。
「姫香!トドメだ!」
 身を守るように組まれた鬼の腕を、天狗がとんぼ返りとともに蹴りあげ弾くと、そのまま隙を与えず連続で蹴りを放つ。吹き荒れる旋風を思わせる蹴りの乱舞が、下段、上段、中段と満遍なく叩き込まれ、鬼の身体を傾がせた。
 そして。
「どんなに堅く身を守ろうと、無駄です」
 高く飛び上がった姫香の声が、降り注ぐ。見えたのは、神の鉄槌をも思わせる、三日月の軌道のかかと落としのフォーム。
「あなたに、私達は――捉えられない」

「……とりあえず、一段落かな」
 念のため、と周囲を警戒する恭一は、先程倒れ消滅した鬼以外の敵の気配を感じないのに安堵しつつ、一応警戒は緩めない。
「これで外に出られるでしょうか」
 朗らかに笑むイクスと対照的に、溜息をつくのは彩華。
「時間を食ってしまいましたね」
 日が暮れていない事を願うばかりです、と帰り道を心配しているようだ。
「そうだね……それにしても、よくよく考えるとここ暗くてすっごく気味悪いなあ……」
 時間もだけど、何か嫌な感じだしとにかく早く出ちゃいたい、と呟く渡会・綾乃。
「うん、取りあえず出ようか」
 早く落ち着ける場所で、存分に話をして欲しいしね、と姫香を見る嘉凪・綾乃に対し、姫香も笑顔で頷きを返す。
「はい。天狗さん、レンさん、行きましょう」

 だが、その笑顔はすぐに失われてしまう。

「悪いな、俺達はここまでだ」
「ごめんなさいね」

 天狗もレンも、その指先から光になって、今にも消えそうだったから。

●井戸の底より
「そん、な……」
 顔を青ざめさせる姫香。見かねて、鋼誠が一歩前へ。
「お前ら……!」
「見ての通りだ」
 天狗はどこか困ったように頭をかき、目を逸らす。
「俺達、この特殊空間の一部なんだよ」
「正確には、あの鬼に殺され、一部になった……と言ったところです」
「……分かってたのか?」
 それだけようやく訊く事が出来た鋼誠に、天狗とレンは寂しげな笑みを返した。
「分かってなかった。でも、気がついたさ」
「私達の記憶では、ここに来たのは姫香と別れてすぐ。でも……姫香がこんなに育っていれば、時の流れ方が違う事など、嫌でも分かってしまいます」
「可能性に賭けてはみたが……この通りさ」
 二人は、もう手首の上まで消えていた。俯いていた姫香が、ようやく我を取り戻し天狗にすがる。
「いや、いやです!折角……折角、やっと、逢えたのに……!」
 姫香の声は、最後の方は涙に埋もれ言葉にならない。

 こんなに温かいのに、幻だなんて。
 こんなに近くに居るのに、鼓動が聞こえないなんて。

「……ごめんな」
 天狗は、そんな姫香の頭をくしゃっと撫でる。
「でも、嬉しかったぜ」
 え、と顔を上げる姫香。涙に濡れたその顔に、天狗は笑いかける。
「こうして、魂だけになっても……成長したお前の姿を見る事が出来たんだ。愛らしく、美しく……強くなった、お前の姿を」
 天狗の優しい笑顔に、姫香は涙が止まらない。他の面々も、皆一様にやりきれない思いを隠せていない。
「ねえ、姫香。私達は、成長したあなたの姿を見られた事が、本当に嬉しいの」
 レンが、消えかかった腕で姫香を優しく抱きしめる。
「満足してる。私達には、勿体無いくらい。だから……」
 レンの言葉を待たず、特殊空間全体にヒビが入り、崩壊を始めた。時間が無い。

「私達はここまでで良いの。残りは、全部あなたにあげるから……幸せに生

 気がつけば一行は、枯れ井戸の前に立ち尽くしていた。

●彼の山より
「お別れ、きちんとできなかったね」
 特殊空間は、最後の別れまで保たず崩壊した。
 井戸の周りを探ったり、詠唱銀を撒いてみても、二人の残滓すら見当たらなかった。
「はい。……でも、消えたあと、空の上から『さよなら』って……言ってくださった気がします」
 空を見上げる、寂しげな姫香の顔。いたたまれなくなった一行は、ひとまず下山する事にして――村落の入り口に並ぶ、地縛霊たちの姿に目を丸くした。
「なっ、こ、コイツら……」
 山を登るに当たり、執拗に妨害を仕掛けてきた、天狗の地縛霊。それがまるで、彼らを見送るかのように、入口に整列しているのだ。
「我々」
「天狗」
「無念」
「生まれた」
 天狗達が一斉に口を開く。接続詞の無い、途切れ途切れの言葉。
「天狗」
「無念」
「晴れた」
「お前たち」
「おかげ」
 どうやら、この地縛霊たちは天狗の無念より生まれたが、一行のおかげで天狗の無念が晴れたと言っているらしい。
「我々」
「お礼」
「したい」
「望み」
「言え」
 そこまで聞いて、姫香が息を呑む。しかし少しの間の後、姫香は小さく微笑み、ゆっくりとかぶりを振った。
「いいえ、大丈夫。ありがとう」
 一斉に首を傾げる地縛霊たちに、姫香は優しく言った。

「私の願いは――もう、叶いましたから」

・・・

冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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HN:
蛍月
性別:
男性
自己紹介:
このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。  イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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