TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
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冬月家使用人様より委託していただいたもの。
…ひええプレ受付から2ヵ月経とうとしてる!申し訳ありません!
※例によって、「こんなのはウチの子じゃない!」などありましたらご一報を。
…ひええプレ受付から2ヵ月経とうとしてる!申し訳ありません!
※例によって、「こんなのはウチの子じゃない!」などありましたらご一報を。
・・・
●冬晴れの空の下
「今日はお付き合いくださり、ありがとうございます」
そう言って微笑むフォア・トンユエ(正しき闇の導き手・b61331)。そんな彼女に対して、ころころ笑って言葉を返すのは嘉凪・綾乃(緋楼蘭・b65487)。
「いいのいいの、それより今日はフォアのお部屋を可愛くアレンジしちゃうんだから!」
彼女の張り切りは服装にも表れているようで、前の開いた黒のミリタリーコートからはパンツインにした白のフリル襟カッターシャツとネイビーのショートパンツジーンズが覗き、黒のニーハイブーツが地面を蹴るたびに首にかけたオレンジのストールマフラーとシルバーネックレスの先の赤い石が楽しげに揺れ、女性らしさを残しつつも活き活きとした様子が体現されている。
「綾乃ちゃん、張り切ってるねー」
そんな嘉凪・綾乃を楽しげに眺める渡会・綾乃(鬼鋼蜘蛛の巫女・b74204)。彼女はベージュのエンパイアラインのワンピースの上にオリーブのモッズコートを重ね、足元はオークのファーブーツが包む。紙の上には銀の髪飾りが光り、女性らしさが目立つファッションである。
好対照な二人の綾乃の傍らを歩くフォアは、淡いピンクのタートルネックセーターにオフホワイトのロングスカート、灰色のチャイナコート、茶色のショートブーツと、彼女の性格通りおしとやかで控えめ……と言うには少々地味に過ぎる。そんなフォアを見た嘉凪・綾乃が「ついでにフォアもアレンジ!」と意気込んでいたのは言うまでもない。
そして三人の後ろには、
「……まあ張り切るのは構わんが、俺が持てる程度にしてくれよ?」
「大丈夫です鋼誠様、ご無理をなさらずとも、お店の人に頼めば家まで届けて頂けますよ」
苦笑を浮かべる鬼頭・鋼誠(鬼鋼蜘蛛の吼切・b70561)と、鋼誠を気遣う眞我妻・姫香(飯綱渡りの鬼鋏・b76235)。鋼誠は黒のシャツとジーンズ、ファーフード付ジャケットを羽織り足元はスニーカーと、荷物持ちを前提にしており、対して姫香はいつもの着物の上に白のファーポンチョを被り、手には同じく白のファー付きミトンとよそ行きの格好である。
好対照にも、どこかちぐはぐにも見える五人。そんな彼女たちのショッピングは、鎌倉某所のショッピングモール内にあるホームセンターから始まる。
●お買いもの日和
未だに自動ドアに慣れていない様子を隠そうとしている鋼誠を尻目に、真っ先に踏み込んだ嘉凪・綾乃がフォアに問いかける。
「フォアのお部屋って、和室なんだよね?」
「はい、和室と呼べるかは微妙ですけれど……四畳半の小さな畳部屋ですわ」
「窓は障子?」
「障子ですけれど……これを機に、カーテンに変えてみてはどうか、とも」
ちなみに親は了承済みとか。それを聞いた嘉凪・綾乃が嬉しそうな顔をする。
「そっか、じゃあちょっとポップにして部屋の印象明るくしてみようか?」
そう言って彼女が指したのは白にオレンジと黄色の細いラインの入った、柔らかく温かい印象のカーテンである。
「わ、温かい色。何だかお部屋も暖かくなりそうだね」
うちの和室にも合うかなあ、と横から顔を出す渡会・綾乃の呟きにフォアも頷く。
「ええ、素敵な色合い……他にはどんなものがあるのかしら?」
色や生地を吟味するフォアに、「他にはねー……」とあれこれお勧めを紹介する嘉凪・綾乃。
「……時間かかりそうだな?」
「鋼誠様も、調理器具を買う時はそうじゃないですか」
正直な感想を呟いた鋼誠に姫香がツッコミを入れた辺りで、買うものが決まった様子。どうやら、最初に勧められたカーテンにシンプルなレースカーテンを合わせて買い、2レーンのカーテンレールで取り付けることにしたようだ。
「お店の中持ち歩くのも大変だし、後でまとめて運ぼうか」
そういう訳で、次の品物へ。
「次はこちらー」
「カーペットですか?」
首を傾げる姫香に、嘉凪・綾乃がどこか得意げに説明を始める。
「んー、惜しい。これは正確にはラグって言って、部屋の一部分に敷くタイプのものなの」
ちなみに日本語で言うと部分敷きね、と鋼誠に補足する嘉凪・綾乃。さすがの気遣いである。
「フォアの部屋って、寝る時ベッド?和室ってことは、布団なのかな?」
「お布団ですわ」
「あ、そうなんだ……ベッドの側とかに敷くと良いんだけど。まあ、ちゃぶ台やこたつの下に敷くのもありだけどね」
そう言って、並べられたラグのサンプルのうち一つを指差す。
「……で、モフモフのが個人的にすごくお勧め。姫香ちゃん、触ってみて、ほらフワフワ」
目を輝かせる姫香。つられて触った渡会・綾乃もふわふわー、と良い顔である。
「畳の上に敷いても大丈夫ですの?」
「うん、敷きっ放しとかにしてるとちょっと危ないけど」
梅雨時などは特に注意である。
「畳だから……これくらいの色がいいかな?個人的に白は汚れやすいけど可愛いんだよね……あ、毛足はどうする?さっきも言った通り、個人的にはモフモフのがお勧めだけど」
「ええと…あ、これもなかなか……」
フォアが触っているのはシープボアタイプのラグ。こちらももこもこした感触で、何とも気持ちが良い。他にも、表面が滑らかでスポンジの入ったものやゴザ風のものなど、一口にラグといってもその種類はいろいろ。
結局さんざん迷った挙句に、「そんなに重いものを乗せる予定もありませんから」とふわもこな質感の白いラグを選択。そしてそれが決まる頃には、傍らで少女2人がふわふわの感触に魅了されていたのであった。
ちなみに、
「……おーい、綾乃に姫香。そろそろ行くぞー」
残る鋼誠は苦労人役だったという。
次に一行が向かったのは寝具などが陳列されているエリアである。
「布団カバーとかも、部屋を飾るポイントになるからね。で、フォアってピンク好き?」
ええ、と応じるフォアに、嘉凪・綾乃が勧めたのは淡いピンク地の布団カバーである。
「これとね、マルチカバーって布を買おうと思うんだけど」
「マルチカバー?」
「布団やソファー、テーブルなんかに被せる大きい布のこと。布団を使う時には上に被せて、布団畳む時はそれで包むと目隠しになっていいよー」
色はこれくらいのピンクで……と説明する嘉凪・綾乃。それとね、と次に指差したのは濃い目のピンクと柔らかい桜色のクッションカバー2種だが、
「あ、でもわたくし、クッションを持っていないのですけれど……」
「なら是非このビーズクッションを!ソファーとか無くても、布団とかラグに添えると可愛いから!」
フォアの言葉を聞くが早いか、爛々とした目でクッションを勧める。どうやら彼女の趣味らしい。
それを見た鋼誠が姫香をちらりと見て、
「……欲しかったら買っていいんだぞ?」
とぼそり。姫香が何やら輝いていた目を慌てて逸らすと、その様子を見た渡会・綾乃がくすりと笑う。
「じゃあ、私も鋼誠くんに買ってもらおうかな?」
「……やばい、私も見てたら欲しくなってきた。フォアとお揃いの買っちゃおうかな」
結局全員で買う事になりそうだった。
●インターバル
「えーっと、あとは……あっちにある雑貨屋さんで見た方が良いかな。この辺りで、ちょっと休憩しない?」
ホームセンターで一通りのものを買った一行は、そういう訳でモール内のフードコートで一息入れていたのだが――
「そうだ、ここのすぐ側が洋服屋さんなんだよね。折角だから、ついでに服も見ない?」
むしろ見たい、フォアをコーディネートしたい、といった様子の嘉凪・綾乃を見て、フォアは苦笑しながらも頷く。
「よし、決まり!じゃあちょっとフォアと服見てくるから、鋼誠はここで休憩しててねー。あ、姫香ちゃんも来る?」
「あ、はい。お供します」
ぴょこんと立ちあがった姫香に合わせ、「あ、じゃあ私も……」と立ち上がりかけた渡会・綾乃だが、
「あ、鋼誠1人だとつまんないだろうから、綾ちゃんは残ってて?」
そう言ってフォアと姫香を連れて行かれてしまい、その場に残る事に。
「……またか」
嘉凪・綾乃によってさりげなく鋼誠とセットにされる渡会・綾乃。たまたまなのか狙ってなのか、何かよく見る状況だなと鋼誠は苦笑を浮かべ、荷物を傍らに置いて伸びをした。
「まあいいや、折角だし綾乃も少し休もうぜ?」
その後しばらくして戻ってきた3人の手には、衣類と思われる紙袋と人数分の飲み物が。
「……ってオイ、荷物増えてんじゃねーか」
●再びお買いもの
さて、雑貨屋である。
「ここでは色々とこまごましたものを買おうと思うんだけど…フォアって、姿見は部屋にある?」
「はい。寮生活の時分にお部屋に置いていた、木枠の姿見がありますわ」
「そっか、じゃあそれは大丈夫かな」
それだけ確認して辺りを見渡す嘉凪・綾乃。その後ろでは、姫香と鋼誠が店内をキョロキョロと見て、渡会・綾乃に窘められている。
「あ、これこれ。アクセとか入れる容器なんだけど、花とか入れても綺麗だよ」
そう言って手に取ったのは、中が小さくいくつかに仕切られた白の木製アクセ入れ。
「私のお勧めはこれだけど、他に気になるのある?……ほら、こんなのも」
指し示したのは同じく木製だが、こちらは素材の風合いを生かしたもののようだ。蝶番で繋がれた蓋の裏側には鏡がついている。
「へー、こんなのもあるんだね」
これならうちにも……と感心する渡会・綾乃。フォアも「なるほど……」と呟くと、口元に指を当てて考え始めた。
「うんうん、こういうお店っていろんなものがあるから、手に取って見てこれはどうかな、って考えるだけでも楽しいよね」
あとはねー、と少し離れた棚に向かい、何かを取り上げる。
「じゃーん!必殺、何でも入れ!……って、フォアは必要ないかな?」
冗談めかして差し出したのは、長方形の藤の籠。大きさは20×30センチほどだ。
「中に布を敷いてね、入れたいものを入れるの。クッション入れにでも何にでも使ってもらって大丈夫だよ」
白い布をひらひらさせる姿は何やらノリノリである。その隣では鋼誠が楕円形の籠を取り、
「お、コレなんかおやつ入れに良さそうだな。蒸かしイモとか、サーターアンダーギーとか」
そこでポテトチップなどが出てこないという“らしさ”を見せていた。
「あとね、部屋の彩りにどうかなっていうのがあるんだけど……」
そんな嘉凪・綾乃の言葉に、フォアが首を傾げる。
「コルクボード……ですの?」
「まあ、一種のアルバムって感じかな。穴あけたくないなら、テーピングテープって手もあるよ」
ポストカードや写真など、ちょっとしたものを貼るだけで、そこにはまた違った世界が広がる。まだ見ぬ土地の写真、あるいは大切な思い出……部屋の一角が、宝石のような輝きを放つことだろう。
「アルバム……ふふ、それは素敵ですわね。それなら、皆さんとの思い出も貼りたいですわ」
そう言って微笑むフォアの顔は、この日一番の笑顔に見えた。
●そして帰り道
「うん、今日はいろいろ買ったね!」
非常に良い顔をしている嘉凪・綾乃と、
「……うむ、いろいろ買ったな。俺がいなかったらどうするつもりだったんだ」
非常に微妙な笑みを浮かべる鋼誠を見て、フォアはくすくすと笑い声をこぼす。
「ふふ、鬼頭さんには感謝していますわ」
まあ良いけどよ、と両手に抱えた荷物を揺らす鋼誠。意地なのか何なのか、カーテンやラグまで抱えているのだからそれなりに大変なはずなのだが、その顔には余裕すらうかがえる。
「そんな状態で悪いのですが……わたくし、折角なのでお部屋に飾る鉢植えなども欲しいのですけれど……渡会さん、見繕って頂けませんか?」
喜んで、と応じる渡会・綾乃と固まる鋼誠。姫香が気遣わしげに見上げるが――
「……へっ、今更鉢植えの1つや2つ増えたって大して変わんねえよ。寄り道するならとっとと行こうぜ、遅くなっちまう」
鋼誠の苦笑いも皆の笑顔も、まだまだ続く楽しい1日を暗示しているようだった。
・・・
蛍月がガチでショッピングモールのホームセンターに行ってきたのは内緒です(何
言い訳になってしまうのですが、近頃は忙しい日々が続きまして…
しかも、時間かかった割には…みたいな評価が聞こえてきそうでヒィィ(泣
というワケで、この度はご依頼ありがとうございました。
余裕があれば、外伝として洋服選びのシーンなども書きたいと思っています(折角プレ頂いたので)
●冬晴れの空の下
「今日はお付き合いくださり、ありがとうございます」
そう言って微笑むフォア・トンユエ(正しき闇の導き手・b61331)。そんな彼女に対して、ころころ笑って言葉を返すのは嘉凪・綾乃(緋楼蘭・b65487)。
「いいのいいの、それより今日はフォアのお部屋を可愛くアレンジしちゃうんだから!」
彼女の張り切りは服装にも表れているようで、前の開いた黒のミリタリーコートからはパンツインにした白のフリル襟カッターシャツとネイビーのショートパンツジーンズが覗き、黒のニーハイブーツが地面を蹴るたびに首にかけたオレンジのストールマフラーとシルバーネックレスの先の赤い石が楽しげに揺れ、女性らしさを残しつつも活き活きとした様子が体現されている。
「綾乃ちゃん、張り切ってるねー」
そんな嘉凪・綾乃を楽しげに眺める渡会・綾乃(鬼鋼蜘蛛の巫女・b74204)。彼女はベージュのエンパイアラインのワンピースの上にオリーブのモッズコートを重ね、足元はオークのファーブーツが包む。紙の上には銀の髪飾りが光り、女性らしさが目立つファッションである。
好対照な二人の綾乃の傍らを歩くフォアは、淡いピンクのタートルネックセーターにオフホワイトのロングスカート、灰色のチャイナコート、茶色のショートブーツと、彼女の性格通りおしとやかで控えめ……と言うには少々地味に過ぎる。そんなフォアを見た嘉凪・綾乃が「ついでにフォアもアレンジ!」と意気込んでいたのは言うまでもない。
そして三人の後ろには、
「……まあ張り切るのは構わんが、俺が持てる程度にしてくれよ?」
「大丈夫です鋼誠様、ご無理をなさらずとも、お店の人に頼めば家まで届けて頂けますよ」
苦笑を浮かべる鬼頭・鋼誠(鬼鋼蜘蛛の吼切・b70561)と、鋼誠を気遣う眞我妻・姫香(飯綱渡りの鬼鋏・b76235)。鋼誠は黒のシャツとジーンズ、ファーフード付ジャケットを羽織り足元はスニーカーと、荷物持ちを前提にしており、対して姫香はいつもの着物の上に白のファーポンチョを被り、手には同じく白のファー付きミトンとよそ行きの格好である。
好対照にも、どこかちぐはぐにも見える五人。そんな彼女たちのショッピングは、鎌倉某所のショッピングモール内にあるホームセンターから始まる。
●お買いもの日和
未だに自動ドアに慣れていない様子を隠そうとしている鋼誠を尻目に、真っ先に踏み込んだ嘉凪・綾乃がフォアに問いかける。
「フォアのお部屋って、和室なんだよね?」
「はい、和室と呼べるかは微妙ですけれど……四畳半の小さな畳部屋ですわ」
「窓は障子?」
「障子ですけれど……これを機に、カーテンに変えてみてはどうか、とも」
ちなみに親は了承済みとか。それを聞いた嘉凪・綾乃が嬉しそうな顔をする。
「そっか、じゃあちょっとポップにして部屋の印象明るくしてみようか?」
そう言って彼女が指したのは白にオレンジと黄色の細いラインの入った、柔らかく温かい印象のカーテンである。
「わ、温かい色。何だかお部屋も暖かくなりそうだね」
うちの和室にも合うかなあ、と横から顔を出す渡会・綾乃の呟きにフォアも頷く。
「ええ、素敵な色合い……他にはどんなものがあるのかしら?」
色や生地を吟味するフォアに、「他にはねー……」とあれこれお勧めを紹介する嘉凪・綾乃。
「……時間かかりそうだな?」
「鋼誠様も、調理器具を買う時はそうじゃないですか」
正直な感想を呟いた鋼誠に姫香がツッコミを入れた辺りで、買うものが決まった様子。どうやら、最初に勧められたカーテンにシンプルなレースカーテンを合わせて買い、2レーンのカーテンレールで取り付けることにしたようだ。
「お店の中持ち歩くのも大変だし、後でまとめて運ぼうか」
そういう訳で、次の品物へ。
「次はこちらー」
「カーペットですか?」
首を傾げる姫香に、嘉凪・綾乃がどこか得意げに説明を始める。
「んー、惜しい。これは正確にはラグって言って、部屋の一部分に敷くタイプのものなの」
ちなみに日本語で言うと部分敷きね、と鋼誠に補足する嘉凪・綾乃。さすがの気遣いである。
「フォアの部屋って、寝る時ベッド?和室ってことは、布団なのかな?」
「お布団ですわ」
「あ、そうなんだ……ベッドの側とかに敷くと良いんだけど。まあ、ちゃぶ台やこたつの下に敷くのもありだけどね」
そう言って、並べられたラグのサンプルのうち一つを指差す。
「……で、モフモフのが個人的にすごくお勧め。姫香ちゃん、触ってみて、ほらフワフワ」
目を輝かせる姫香。つられて触った渡会・綾乃もふわふわー、と良い顔である。
「畳の上に敷いても大丈夫ですの?」
「うん、敷きっ放しとかにしてるとちょっと危ないけど」
梅雨時などは特に注意である。
「畳だから……これくらいの色がいいかな?個人的に白は汚れやすいけど可愛いんだよね……あ、毛足はどうする?さっきも言った通り、個人的にはモフモフのがお勧めだけど」
「ええと…あ、これもなかなか……」
フォアが触っているのはシープボアタイプのラグ。こちらももこもこした感触で、何とも気持ちが良い。他にも、表面が滑らかでスポンジの入ったものやゴザ風のものなど、一口にラグといってもその種類はいろいろ。
結局さんざん迷った挙句に、「そんなに重いものを乗せる予定もありませんから」とふわもこな質感の白いラグを選択。そしてそれが決まる頃には、傍らで少女2人がふわふわの感触に魅了されていたのであった。
ちなみに、
「……おーい、綾乃に姫香。そろそろ行くぞー」
残る鋼誠は苦労人役だったという。
次に一行が向かったのは寝具などが陳列されているエリアである。
「布団カバーとかも、部屋を飾るポイントになるからね。で、フォアってピンク好き?」
ええ、と応じるフォアに、嘉凪・綾乃が勧めたのは淡いピンク地の布団カバーである。
「これとね、マルチカバーって布を買おうと思うんだけど」
「マルチカバー?」
「布団やソファー、テーブルなんかに被せる大きい布のこと。布団を使う時には上に被せて、布団畳む時はそれで包むと目隠しになっていいよー」
色はこれくらいのピンクで……と説明する嘉凪・綾乃。それとね、と次に指差したのは濃い目のピンクと柔らかい桜色のクッションカバー2種だが、
「あ、でもわたくし、クッションを持っていないのですけれど……」
「なら是非このビーズクッションを!ソファーとか無くても、布団とかラグに添えると可愛いから!」
フォアの言葉を聞くが早いか、爛々とした目でクッションを勧める。どうやら彼女の趣味らしい。
それを見た鋼誠が姫香をちらりと見て、
「……欲しかったら買っていいんだぞ?」
とぼそり。姫香が何やら輝いていた目を慌てて逸らすと、その様子を見た渡会・綾乃がくすりと笑う。
「じゃあ、私も鋼誠くんに買ってもらおうかな?」
「……やばい、私も見てたら欲しくなってきた。フォアとお揃いの買っちゃおうかな」
結局全員で買う事になりそうだった。
●インターバル
「えーっと、あとは……あっちにある雑貨屋さんで見た方が良いかな。この辺りで、ちょっと休憩しない?」
ホームセンターで一通りのものを買った一行は、そういう訳でモール内のフードコートで一息入れていたのだが――
「そうだ、ここのすぐ側が洋服屋さんなんだよね。折角だから、ついでに服も見ない?」
むしろ見たい、フォアをコーディネートしたい、といった様子の嘉凪・綾乃を見て、フォアは苦笑しながらも頷く。
「よし、決まり!じゃあちょっとフォアと服見てくるから、鋼誠はここで休憩しててねー。あ、姫香ちゃんも来る?」
「あ、はい。お供します」
ぴょこんと立ちあがった姫香に合わせ、「あ、じゃあ私も……」と立ち上がりかけた渡会・綾乃だが、
「あ、鋼誠1人だとつまんないだろうから、綾ちゃんは残ってて?」
そう言ってフォアと姫香を連れて行かれてしまい、その場に残る事に。
「……またか」
嘉凪・綾乃によってさりげなく鋼誠とセットにされる渡会・綾乃。たまたまなのか狙ってなのか、何かよく見る状況だなと鋼誠は苦笑を浮かべ、荷物を傍らに置いて伸びをした。
「まあいいや、折角だし綾乃も少し休もうぜ?」
その後しばらくして戻ってきた3人の手には、衣類と思われる紙袋と人数分の飲み物が。
「……ってオイ、荷物増えてんじゃねーか」
●再びお買いもの
さて、雑貨屋である。
「ここでは色々とこまごましたものを買おうと思うんだけど…フォアって、姿見は部屋にある?」
「はい。寮生活の時分にお部屋に置いていた、木枠の姿見がありますわ」
「そっか、じゃあそれは大丈夫かな」
それだけ確認して辺りを見渡す嘉凪・綾乃。その後ろでは、姫香と鋼誠が店内をキョロキョロと見て、渡会・綾乃に窘められている。
「あ、これこれ。アクセとか入れる容器なんだけど、花とか入れても綺麗だよ」
そう言って手に取ったのは、中が小さくいくつかに仕切られた白の木製アクセ入れ。
「私のお勧めはこれだけど、他に気になるのある?……ほら、こんなのも」
指し示したのは同じく木製だが、こちらは素材の風合いを生かしたもののようだ。蝶番で繋がれた蓋の裏側には鏡がついている。
「へー、こんなのもあるんだね」
これならうちにも……と感心する渡会・綾乃。フォアも「なるほど……」と呟くと、口元に指を当てて考え始めた。
「うんうん、こういうお店っていろんなものがあるから、手に取って見てこれはどうかな、って考えるだけでも楽しいよね」
あとはねー、と少し離れた棚に向かい、何かを取り上げる。
「じゃーん!必殺、何でも入れ!……って、フォアは必要ないかな?」
冗談めかして差し出したのは、長方形の藤の籠。大きさは20×30センチほどだ。
「中に布を敷いてね、入れたいものを入れるの。クッション入れにでも何にでも使ってもらって大丈夫だよ」
白い布をひらひらさせる姿は何やらノリノリである。その隣では鋼誠が楕円形の籠を取り、
「お、コレなんかおやつ入れに良さそうだな。蒸かしイモとか、サーターアンダーギーとか」
そこでポテトチップなどが出てこないという“らしさ”を見せていた。
「あとね、部屋の彩りにどうかなっていうのがあるんだけど……」
そんな嘉凪・綾乃の言葉に、フォアが首を傾げる。
「コルクボード……ですの?」
「まあ、一種のアルバムって感じかな。穴あけたくないなら、テーピングテープって手もあるよ」
ポストカードや写真など、ちょっとしたものを貼るだけで、そこにはまた違った世界が広がる。まだ見ぬ土地の写真、あるいは大切な思い出……部屋の一角が、宝石のような輝きを放つことだろう。
「アルバム……ふふ、それは素敵ですわね。それなら、皆さんとの思い出も貼りたいですわ」
そう言って微笑むフォアの顔は、この日一番の笑顔に見えた。
●そして帰り道
「うん、今日はいろいろ買ったね!」
非常に良い顔をしている嘉凪・綾乃と、
「……うむ、いろいろ買ったな。俺がいなかったらどうするつもりだったんだ」
非常に微妙な笑みを浮かべる鋼誠を見て、フォアはくすくすと笑い声をこぼす。
「ふふ、鬼頭さんには感謝していますわ」
まあ良いけどよ、と両手に抱えた荷物を揺らす鋼誠。意地なのか何なのか、カーテンやラグまで抱えているのだからそれなりに大変なはずなのだが、その顔には余裕すらうかがえる。
「そんな状態で悪いのですが……わたくし、折角なのでお部屋に飾る鉢植えなども欲しいのですけれど……渡会さん、見繕って頂けませんか?」
喜んで、と応じる渡会・綾乃と固まる鋼誠。姫香が気遣わしげに見上げるが――
「……へっ、今更鉢植えの1つや2つ増えたって大して変わんねえよ。寄り道するならとっとと行こうぜ、遅くなっちまう」
鋼誠の苦笑いも皆の笑顔も、まだまだ続く楽しい1日を暗示しているようだった。
・・・
蛍月がガチでショッピングモールのホームセンターに行ってきたのは内緒です(何
言い訳になってしまうのですが、近頃は忙しい日々が続きまして…
しかも、時間かかった割には…みたいな評価が聞こえてきそうでヒィィ(泣
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ここの管理人
HN:
蛍月
性別:
男性
自己紹介:
このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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