TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
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日常の中に、非日常の入り口はある。
そしてそれは、唐突に現れる。
そしてそれは、唐突に現れる。
・・・
「こんにちは」
「あ、いらっしゃい」
市内某所の喫茶店。毎週土曜日、曜子は勉強を兼ねここにお茶を飲みに来ている。
「ハーブティ、新しいブレンドを考えてみたんだけど。試してみない?」
「頂きます。あと、いつも通り合いそうなケーキを」
カウンター席に着いた曜子に、ウェイトレス姿の少女が話しかける。これがいつものやり取りのようだ。
「あ、いい匂いですね」
「でしょう?今回は我ながら上出来!」
へへー、と明るく笑う少女を横目に、ハーブティを楽しむ曜子。いつも通りの休日……の、筈だった。
「いらっしゃいませー」
「こんにちは……ねえお嬢さん。隣、良いかしら?」
曜子の隣に、サングラスをかけた明るい赤茶色の髪の女性が座る。店内は比較的空いていて、他にも座る場所はいくらでもある筈だが――
「……ああ、これ?ごめんなさいね、ちょっと目は見せたくないの」
曜子の怪訝そうな顔を見て、女性がサングラスのフレームを摘んで微笑む。もちろん、曜子が疑問に感じる点はもっと別のところにあったのだが、女性はお構いなしのようだった。
「……それで、何か御用ですか?」
「あら、私はただお嬢さんとお茶を楽しみたいと思っただけよ?……ウェイトレスさん、彼女と同じもの頼めるかしら?」
「はい、かしこまりました!」
少女がハーブティとケーキを用意するため少し離れると、女性は不意に声をひそめ、曜子に信じられない事を囁いた。
「ねえ……お嬢さん、ただの人じゃないでしょう?」
「――!!」
曜子が反射的にポケット――イグニッションカードが入っている――に手を伸ばすと、女性はさして慌てた様子もなく続ける。
「驚かせてごめんなさいね?でも、わかるのよ――私も、そういうのだから」
「おまたせしましたー」
戻ってきた少女の声。場の緊張感が不意に消失するが、曜子の目からは警戒の色が消えない。
「ありがとう……ふふ、いい匂いね。ケーキも美味しそう」
「はい、自信作なんです!ごゆっくりどうぞ!」
嬉しそうに顔をほころばせ、テーブル席のオーダーを取りに行く少女。それを目で追い、曜子は問いかける。
「……あなた、何者なんですか?」
「あら、野暮な事を訊くのね?折角、美味しそうなお茶とケーキが目の前にあるのに……」
女性はくすりと笑うと、ケーキをつつきながら話し始めた。
「さっきも言った通り、私もそういうの。そうね……人のようで人でない、そんな所かしら?」
あら美味しい、とケーキを嬉しそうに口へ運ぶ女性。その顔はただ微笑んでいて、逆に何の表情も無く見える。
「でもね、良い所があるの……私達のような存在が、人に近づける場所」
女性が曜子の方を向く。サングラスの下の目線は見えないが、きっと瞳を見つめている。
「人にあらざるものへ人の身体を与える、古き儀式の祠……ねえ、興味無い?」
「……ありませんね」
怪しい女性の胡散臭い話。信じる道理はどこにも無い。普段の曜子なら一蹴する所だが、何故か少し言葉に詰まる。
「そう?でも、知っておいて損は無いと思うの……ほら、この場所よ」
女性が曜子の前にメモを置く。住所と簡単な地図の書かれた、手帳の切れ端。
「もし気が変わって、ちょっとでも興味がわいたなら……行ってみると良いわ」
いつの間にかケーキを食べ終えていた女性は、ハーブティを飲み干すと席を立った。
「話、聞いてくれてありがと。お礼代わりに、ここは払っておくわ……じゃ、ごゆっくり」
女性は少女に「ごちそうさま、美味しかったわ」と微笑みかけ、会計を済ませゆっくりと去って行った。
「綺麗な方でしたねー」
美味しかったの一言に、明るい顔を見せる少女。対照的に、曜子の心中には影のようなものが蟠っていた。
(……くだらない、知らない女の与太話……なのに)
曜子は、残されたメモに目を落とす。
(……なのに……何で、気になるんだろう。何で、このメモを……丸めて捨ててしまえないんだろう)
ハーブティは、すっかり冷めてしまっていた。
「こんにちは」
「あ、いらっしゃい」
市内某所の喫茶店。毎週土曜日、曜子は勉強を兼ねここにお茶を飲みに来ている。
「ハーブティ、新しいブレンドを考えてみたんだけど。試してみない?」
「頂きます。あと、いつも通り合いそうなケーキを」
カウンター席に着いた曜子に、ウェイトレス姿の少女が話しかける。これがいつものやり取りのようだ。
「あ、いい匂いですね」
「でしょう?今回は我ながら上出来!」
へへー、と明るく笑う少女を横目に、ハーブティを楽しむ曜子。いつも通りの休日……の、筈だった。
「いらっしゃいませー」
「こんにちは……ねえお嬢さん。隣、良いかしら?」
曜子の隣に、サングラスをかけた明るい赤茶色の髪の女性が座る。店内は比較的空いていて、他にも座る場所はいくらでもある筈だが――
「……ああ、これ?ごめんなさいね、ちょっと目は見せたくないの」
曜子の怪訝そうな顔を見て、女性がサングラスのフレームを摘んで微笑む。もちろん、曜子が疑問に感じる点はもっと別のところにあったのだが、女性はお構いなしのようだった。
「……それで、何か御用ですか?」
「あら、私はただお嬢さんとお茶を楽しみたいと思っただけよ?……ウェイトレスさん、彼女と同じもの頼めるかしら?」
「はい、かしこまりました!」
少女がハーブティとケーキを用意するため少し離れると、女性は不意に声をひそめ、曜子に信じられない事を囁いた。
「ねえ……お嬢さん、ただの人じゃないでしょう?」
「――!!」
曜子が反射的にポケット――イグニッションカードが入っている――に手を伸ばすと、女性はさして慌てた様子もなく続ける。
「驚かせてごめんなさいね?でも、わかるのよ――私も、そういうのだから」
「おまたせしましたー」
戻ってきた少女の声。場の緊張感が不意に消失するが、曜子の目からは警戒の色が消えない。
「ありがとう……ふふ、いい匂いね。ケーキも美味しそう」
「はい、自信作なんです!ごゆっくりどうぞ!」
嬉しそうに顔をほころばせ、テーブル席のオーダーを取りに行く少女。それを目で追い、曜子は問いかける。
「……あなた、何者なんですか?」
「あら、野暮な事を訊くのね?折角、美味しそうなお茶とケーキが目の前にあるのに……」
女性はくすりと笑うと、ケーキをつつきながら話し始めた。
「さっきも言った通り、私もそういうの。そうね……人のようで人でない、そんな所かしら?」
あら美味しい、とケーキを嬉しそうに口へ運ぶ女性。その顔はただ微笑んでいて、逆に何の表情も無く見える。
「でもね、良い所があるの……私達のような存在が、人に近づける場所」
女性が曜子の方を向く。サングラスの下の目線は見えないが、きっと瞳を見つめている。
「人にあらざるものへ人の身体を与える、古き儀式の祠……ねえ、興味無い?」
「……ありませんね」
怪しい女性の胡散臭い話。信じる道理はどこにも無い。普段の曜子なら一蹴する所だが、何故か少し言葉に詰まる。
「そう?でも、知っておいて損は無いと思うの……ほら、この場所よ」
女性が曜子の前にメモを置く。住所と簡単な地図の書かれた、手帳の切れ端。
「もし気が変わって、ちょっとでも興味がわいたなら……行ってみると良いわ」
いつの間にかケーキを食べ終えていた女性は、ハーブティを飲み干すと席を立った。
「話、聞いてくれてありがと。お礼代わりに、ここは払っておくわ……じゃ、ごゆっくり」
女性は少女に「ごちそうさま、美味しかったわ」と微笑みかけ、会計を済ませゆっくりと去って行った。
「綺麗な方でしたねー」
美味しかったの一言に、明るい顔を見せる少女。対照的に、曜子の心中には影のようなものが蟠っていた。
(……くだらない、知らない女の与太話……なのに)
曜子は、残されたメモに目を落とす。
(……なのに……何で、気になるんだろう。何で、このメモを……丸めて捨ててしまえないんだろう)
ハーブティは、すっかり冷めてしまっていた。
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ここの管理人
HN:
蛍月
性別:
男性
自己紹介:
このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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