忍者ブログ
TW2:シルバーレインのキャラに関するページ。ピンとこなかった人は今すぐ戻った方が良いかと…
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

日常の中に、非日常の入り口はある。
そしてそれは、唐突に現れる。

・・・

「こんにちは」
「あ、いらっしゃい」
 市内某所の喫茶店。毎週土曜日、曜子は勉強を兼ねここにお茶を飲みに来ている。
「ハーブティ、新しいブレンドを考えてみたんだけど。試してみない?」
「頂きます。あと、いつも通り合いそうなケーキを」
 カウンター席に着いた曜子に、ウェイトレス姿の少女が話しかける。これがいつものやり取りのようだ。
「あ、いい匂いですね」
「でしょう?今回は我ながら上出来!」
 へへー、と明るく笑う少女を横目に、ハーブティを楽しむ曜子。いつも通りの休日……の、筈だった。
「いらっしゃいませー」
「こんにちは……ねえお嬢さん。隣、良いかしら?」
 曜子の隣に、サングラスをかけた明るい赤茶色の髪の女性が座る。店内は比較的空いていて、他にも座る場所はいくらでもある筈だが――
「……ああ、これ?ごめんなさいね、ちょっと目は見せたくないの」
 曜子の怪訝そうな顔を見て、女性がサングラスのフレームを摘んで微笑む。もちろん、曜子が疑問に感じる点はもっと別のところにあったのだが、女性はお構いなしのようだった。
「……それで、何か御用ですか?」
「あら、私はただお嬢さんとお茶を楽しみたいと思っただけよ?……ウェイトレスさん、彼女と同じもの頼めるかしら?」
「はい、かしこまりました!」
 少女がハーブティとケーキを用意するため少し離れると、女性は不意に声をひそめ、曜子に信じられない事を囁いた。

「ねえ……お嬢さん、ただの人じゃないでしょう?」

「――!!」
 曜子が反射的にポケット――イグニッションカードが入っている――に手を伸ばすと、女性はさして慌てた様子もなく続ける。
「驚かせてごめんなさいね?でも、わかるのよ――私も、そういうのだから」
「おまたせしましたー」
 戻ってきた少女の声。場の緊張感が不意に消失するが、曜子の目からは警戒の色が消えない。
「ありがとう……ふふ、いい匂いね。ケーキも美味しそう」
「はい、自信作なんです!ごゆっくりどうぞ!」
 嬉しそうに顔をほころばせ、テーブル席のオーダーを取りに行く少女。それを目で追い、曜子は問いかける。
「……あなた、何者なんですか?」
「あら、野暮な事を訊くのね?折角、美味しそうなお茶とケーキが目の前にあるのに……」
 女性はくすりと笑うと、ケーキをつつきながら話し始めた。
「さっきも言った通り、私もそういうの。そうね……人のようで人でない、そんな所かしら?」
 あら美味しい、とケーキを嬉しそうに口へ運ぶ女性。その顔はただ微笑んでいて、逆に何の表情も無く見える。
「でもね、良い所があるの……私達のような存在が、人に近づける場所」
 女性が曜子の方を向く。サングラスの下の目線は見えないが、きっと瞳を見つめている。
「人にあらざるものへ人の身体を与える、古き儀式の祠……ねえ、興味無い?」
「……ありませんね」
 怪しい女性の胡散臭い話。信じる道理はどこにも無い。普段の曜子なら一蹴する所だが、何故か少し言葉に詰まる。
「そう?でも、知っておいて損は無いと思うの……ほら、この場所よ」
 女性が曜子の前にメモを置く。住所と簡単な地図の書かれた、手帳の切れ端。
「もし気が変わって、ちょっとでも興味がわいたなら……行ってみると良いわ」
 いつの間にかケーキを食べ終えていた女性は、ハーブティを飲み干すと席を立った。
「話、聞いてくれてありがと。お礼代わりに、ここは払っておくわ……じゃ、ごゆっくり」
 女性は少女に「ごちそうさま、美味しかったわ」と微笑みかけ、会計を済ませゆっくりと去って行った。
「綺麗な方でしたねー」
 美味しかったの一言に、明るい顔を見せる少女。対照的に、曜子の心中には影のようなものが蟠っていた。
(……くだらない、知らない女の与太話……なのに)
 曜子は、残されたメモに目を落とす。
(……なのに……何で、気になるんだろう。何で、このメモを……丸めて捨ててしまえないんだろう)

 ハーブティは、すっかり冷めてしまっていた。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
ここの管理人
HN:
蛍月
性別:
男性
自己紹介:
このブログを管理する者であり、柚之葉・薫(b68352)と鬼頭・鋼誠(b70561)と眞我妻・姫香(b76235)と玉城・曜子(b76893)の背後に当たる人。大体男2人に滅多打ちにされてる。
※このブログで使用されるキャラクターイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、管理人『蛍月』が作成を依頼したものです。  イラストの使用権は管理人『蛍月』に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
カレンダー
12 2020/01 02
S M T W T F S
2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[01/09 嘉凪さん家の後ろの人]
[05/19 背後の人]
[05/19 朔望]
ブログ内検索
リンク(別窓展開注意)
バーコード
P R

Copyright © [ 雪蜘蛛忍法帳 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]